3月のコロナ禍を乗り切ったKFCとモスバーガー 好調だった「シェアBOX」と「ライスバーガー」:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)
新型コロナの影響で外食チェーンの多くは3月に苦戦した。一方、KFCとモスバーガーは何とか乗り切った。なぜなのか。
4月は厳しい展開が予想される
ゴールデンウイークから5月下旬までは、3人分がセットで1667円(税別)という、最大で400円以上もお得になる期間限定「ファミリーパック」を推している。内容は、人気のハンバーガー3種類と、フレンチフライポテトSサイズ3個、コールドドリンクSサイズ3個がセットになっている。
モスバーガーが入った「モスパック」と、テリヤキバーガーが入った「テリパック」の2種類があり、残りの2個のハンバーガーは共通でチキンバーガーとチーズバーガーとなっている。
同社の店舗も、緊急事態宣言を受けて、自治体の要請により1都2府27県で午後8時までの時短営業を行っており、それ以降はテークアウトのみが基本となっている。店舗が狭い店はテークアウトのみで、商業施設内にある店などは休業している。
営業している店もソーシャルディスタンスを守るため、テーブルを間引いているが、それでも満席にはなりにくい状況にある。従って、モスバーガーも4月は非常に厳しいだろう。
KFCとモスバーガーは、共に商品の改革により不振から立ち直った。KFCは1年半、モスバーガーは半年、好調に推移してきた。テークアウト比率ももともと高かったが、3月以降はさらに1割ほど上昇。イートインの減少を補って、ドライブスルーなどの非接触型販売の効果が上がった。
しかし、4月以降のコロナ禍が続くうちは時短、休業、店内飲食休止などで、厳しい情勢にある。ただし、3月の傑出した結果から、両社のテークアウトに主軸を置くスタンスは、今後も新型コロナのような疫病のパンデミックが起こりかねないリスクがある中で、外食が生き残る1つの形となるだろう。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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