「喫煙者は新型コロナにかかりにくい」 まさかの新説は本当か:スピン経済の歩き方(5/5 ページ)
アメリカやフランスの研究チームが、ちょっと信じられない研究結果を発表した。「喫煙者は新型コロナにかかりにくい」というのだ。まさかの新説の裏に何があるのか。
この情報で誰が得するのか
この研究結果についてフランス保健当局は、ニコチンの有害性を忘れてはならないとクギをさし、研究をう呑みにして、喫煙を始めたり、ニコチンパッチなどを使用したりしないように呼びかけている。日本の愛煙家の皆さんもくれぐれも、「実はタバコ吸ってると新型コロナにかかりにくいんだぜ、プハー」みたいに、盛った話を広めるのはやめていただきたい。
世の中の混乱期に「コロナ詐欺」を仕掛ける輩が後を絶たないように、この新型コロナパニックに乗じて、自分たちの利益につながる情報を流す者たちはたくさんいる。社会がひっくり返るようなニュースに合わせて、しれっと不祥事を公表する企業のように、ドサクサにまぎれた情報操作を試みるのだ。こうした操作に踊らされないためには、情報のバックグラウンドに目を向けていくしかない。
この情報で誰が得をするのか。なぜこのタイミングでそんな話が出てきたのか。ウイルスの感染拡大防止とともに、それに便乗するデマの拡大にも注意しなければいけない。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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