新型コロナ危機、ANAと日産の融資申し込みはどうなる? 政府は大企業、中小企業支援で今何をするべきなのか:危機が迫る「経済の大動脈」(1/5 ページ)
新型コロナの経済影響が長期化・深刻化している。このまま続けば、大企業の破綻によって連鎖倒産が引き起こされる可能性もありえる。筆者の大関暁夫氏は、特に航空業界と自動車業界が危険だと指摘する。
いまだ決定的な打開策を見いだせず、当初の想定以上に長期化が避けらない様相を呈している「新型コロナ危機」。長期化による企業活動への影響ははかり知れず、そこかしこから収束が見えない状況に苦悩する企業の悲鳴が聞こえてきています。特に中小企業は手元現金に余裕のないケースが多く、資金繰りに窮する企業が続出しています。政府は日本政策金融公庫による無利息・無担保の緊急融資を用意するなどして救済の手を差し伸べていますが、問題が長期化しそれだけでは追い付かない状況にあり、国としての企業支援策の圧倒的な不足感は否めません。
借入金はどこまで行っても借入金であり、仮に「無利息・無担保」であろうとも返済しなくてはいけない以上、抜本的な支援策には程遠いのが現状です。ならば支援一時金を支給すればいいのか、という問題になるわけなのですが、これが難しい問題です。東京都の感染拡大防止協力金のような、地方自治体が自粛要請とセットで独自実施をするものは大いにけっこうですが、経済の維持・回復・成長に責を負う国としてはこのような一時的なものではなく、むしろ新型コロナ危機収束までの間における継続的な支援が望まれていると考えます。
例えば業績が大幅に下降した企業に対して、新型コロナが落ち着くまでの一定期間、社会保険料の企業負担分を免除する、あるいは光熱費などの公共料金における基本料金を一定期間政府負担とするとか。会社を継続している限り“不稼働時”でも負担を免れない公共的色合いの濃いコストを政府が肩代わりする、というのが実効性も納得性も高い中小企業支援策ではないかと思うのです。「家賃を国が負担できないか」という声が飲食業などの一部から出ているようですが、各社における家賃金額の妥当性の判断が難しく(営業戦略として必要以上のスペースやぜいたくな立地を選択しているケースもあるでしょう)、これをある程度の公平感を持って国が負担するのは難しいと考えます。
社会保険料は雇用継続する限り社員数に比例して負担する「利益を生まない固定費」であり、せめて実質稼働できない期間ぐらい企業負担分を勘弁してほしいというのは、経営者の納得性の高いホンネであろうと思います。また光熱費などの公共料金に関しては、基本料金部分だけであれば支払い免除の公平感は得やすく、さらにこの負担がなくなれば一定期間のテレワーク徹底や製造現場の一時休業にも、拍車が掛かるのではないかと考えるところです。
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