新型コロナ危機、ANAと日産の融資申し込みはどうなる? 政府は大企業、中小企業支援で今何をするべきなのか:危機が迫る「経済の大動脈」(2/5 ページ)
新型コロナの経済影響が長期化・深刻化している。このまま続けば、大企業の破綻によって連鎖倒産が引き起こされる可能性もありえる。筆者の大関暁夫氏は、特に航空業界と自動車業界が危険だと指摘する。
怖いのは「キャッシュフローの欠如」
では、大企業支援策はどうか。企業経営リスクで最も怖いのは、企業規模にかかわらずやはり「キャッシュフローの欠如」です。日本の大企業は内部留保が厚くキャッシュフロー面では安泰と思われがちですが、内部留保とキャッシュフローは必ずしもイコールではありません。
日本を代表する、いわゆる「経済の大動脈」に近い大企業がもし資金ショートし破綻に追い込まれるようなことがあれば、日本経済は大混乱に陥ります。言ってみれば、新型コロナ危機に加えてリーマンショック的な経済不況が上乗せされ、中小企業を巻き込んだ連鎖倒産が日本中で多発するような最悪の事態も考えられるのです。
ここで言う経済の大動脈に近い大企業とは、基幹産業を中心としていくつかの業種に存在しています。特に影響が大きいのは、最大手企業の数がさほど多くなく、かつ下請けや関連業種など裾野も広い業界。すなわち、万が一その業界ピラミッドの頂点に座る大手企業が1社でも破綻したら、代えがきかないような業界です。そのような業界の大手企業がもし破綻したら、取引先企業および関連業種企業群などへの影響を含め日本経済に与えるダメージは計り知れず、新型コロナ収束後の我が国経済回復の大きな足かせになりうるのです。
現時点でもっとも新型コロナによるダメージが大きい業界の一つ、といえるのが航空業界です。もし日本航空と全日空(以下ANA)という、業界を支えるビッグ2のどちらかが、経営危機に陥るようなことがあれば、我が国経済に致命的に大きなダメージを与えることになるでしょう。現状日本の航空業界は、国際線の約95%が欠便。加えて国内線も、「三密」輸送を敬遠され利用者が激減。かつてない減便状態にあり、未曾有(みぞう)の大ピンチにひんしています。
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