新型コロナ危機、ANAと日産の融資申し込みはどうなる? 政府は大企業、中小企業支援で今何をするべきなのか:危機が迫る「経済の大動脈」(5/5 ページ)
新型コロナの経済影響が長期化・深刻化している。このまま続けば、大企業の破綻によって連鎖倒産が引き起こされる可能性もありえる。筆者の大関暁夫氏は、特に航空業界と自動車業界が危険だと指摘する。
財政投融資の活用も手か
そうなると、改めて注目しておきたいのが財政投融資の役割です。わが国の財政投融資は郵政改革の折に大幅な縮小がなされましたが、従来はゆうちょ、かんぽ資金の運用先として「第二の予算」と呼ばれていた国家資金です。古くは戦後復興の基盤資金として、日本経済の復活成長を底支えしてきた存在でもあります。
新型コロナ禍に苦しむ企業支援として赤字国債の発行が問題視されるようなことがあるのであれば、ここは特例的な時限立法を通してでも一時的な旧財政投融資の復活も検討の俎上にあげてはどうなのかと思ってもいます(幸い日本郵政は民営化したとはいえ、まだ政府の管轄下にあります)。ともすれば“ナンセンス”な発想に聞こえるかもしれませんが、新型コロナ危機はそれほどに重大な有事です。いかに経済的なダメージを最小限に食い止め、新型コロナ危機収束時の速やかな経済的回復に向けたお膳だてをするか、それが今政府に課された最大の経済的任務ではないかと思うのです。
現状政府の経済面での対応をみるに、まだまだ危機感に乏しいのではないかと感じさせられることしきりです。政府の大企業および中小企業に対する、一刻も早い本格支援への思い切った舵切りを切に望む次第です。
著者プロフィール・大関暁夫(おおぜきあけお)
株式会社スタジオ02 代表取締役
横浜銀行に入り現場および現場指導の他、新聞記者経験もある異色の銀行マンとして活躍。全銀協出向時は旧大蔵省、自民党担当として小泉純一郎の郵政民営化策を支援した。その後営業、マーケティング畑ではアイデアマンとしてならし、金融危機の預金流出時に勝率連動利率の「ベイスターズ定期」を発案し、経営危機を救ったことも。06年支店長職をひと区切りとして銀行を円満退社。銀行時代実践した「稼ぐ営業チームづくり」を軸に、金融機関、上場企業、中小企業の現場指導をする傍ら、企業アナリストとしてメディアにも数多く登場。AllAbout「組織マネジメントガイド」役をはじめ、多くのメディアで執筆者やコメンテーターとして活躍中。
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