新型コロナ危機、ANAと日産の融資申し込みはどうなる? 政府は大企業、中小企業支援で今何をするべきなのか:危機が迫る「経済の大動脈」(4/5 ページ)
新型コロナの経済影響が長期化・深刻化している。このまま続けば、大企業の破綻によって連鎖倒産が引き起こされる可能性もありえる。筆者の大関暁夫氏は、特に航空業界と自動車業界が危険だと指摘する。
ANAと日産の融資申し込みはどうなるのか?
新型コロナ危機を乗り切るための資金確保に走るANAや日産自動車の融資申し込みは、果たしてOKが出るのでしょうか。
もちろん、ANAも日産自動車も日本を代表する大手企業であり、マネジメント状況など企業統治面での信用に問題はありません。しかし、ともに業績の回復には国内だけでなく各国のコロナ関連情勢も大きくかかわってくるだけに、先行きに対する事業展望に関しては大いに懸念されるところです。従い、金融機関の判断としては融資審査に関して現状では慎重に対処せざるを得ない、というのが偽らざるところでしょう。
そこで現在ANAは、この取引銀行とのコミットメントライン契約に政府保証を付けることで銀行の承諾をとろう、という方向で動き出しました。しかしここにも問題があります。政府が一民間企業の銀行借入を保証するのは異例中の異例の出来事といえます。かつ、政府がANAの債務保証を承諾すれば、幅広い業種から多くの主要企業が有事の手元資金確保を理由に、軒並み同じように政府保証を求めてくるであろうということが想像に難くない。さらにもう一点、政府が一民間企業の債務保証をするということが報道されれば、やれ「大企業優遇だ」「えこひいきだ」と、マスコミ世論が騒ぎ立て大混乱に陥るかもしれません。
世論からの正しい理解を得るためにも、まずは冒頭に述べたような中小企業に対する手厚い支援策の実施と、なぜ特定の大企業を国が支援するのか、という点に関する分かりやすい説明は不可欠であり、国民の理解と納得を前提とした支援策が求められます。できれば、「日本経済を守る」という国の責任を全うする意味から、経済に大きな影響力を持つ特定の大企業支援に関しては、民間に任せるのではなく国としてしっかりと支えて欲しいと思います。
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