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新型コロナで苦渋の決断――ホリエモン出資の宇宙ベンチャー・インターステラ稲川社長が“打ち上げ延期決定前”に明かしていた「人材育成と成長戦略」大樹町の要請で打ち上げ延期(5/6 ページ)

北海道大樹町の要請によって延期になった国産小型ロケット「MOMO5号機」の打ち上げ――。ホリエモン出資の宇宙ベンチャー・インターステラテクノロジズは同機の打ち上げを、宇宙事業が「実験」から「ビジネス」に進化する転換点と位置付けていた。ITmedia ビジネスオンラインは4月20日の時点で稲川社長に単独インタビューを実施。同社が進める人材育成、今後の成長戦略についてのビジョンを聞いていた。延期とされた5号機の打ち上げが、同社や日本の宇宙産業にとっていかなる意味を持っていたのかを問い掛ける意図から、その一問一答を掲載する。

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ユニコーン企業への成長は可能

――ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーは、2040年代に宇宙ビジネスの事業規模が約1兆ドルに達すると予測しています。ISTはどれくらいの規模に成長するビジョンを描いていますか。

稲川:ロケット産業が現在どれくらいの価値だと見られているのかというと、現時点で民間で最大の規模を誇る米スペースXが、2019年末で時価総額は3.5兆円くらいです。

 時価総額3.5兆円を超える企業は、日本企業では30社程度です(2020年4月28日時点)。つまり米国では、ロケット産業は新しい産業ができたような感じで捉えられています。世界的に見ると非常に期待されている分野なのです。

 ただ、私たちはスペースXのような大きいロケットをすぐに作ろうとは考えていません。私たちが「ZERO」で目指している小型の衛星打ち上げロケットを作る会社だと、米ロケットラボの時価総額が1500億円くらいです。評価額10億ドル以上で設立10年以内のベンチャー、いわゆるユニコーン企業ですね。私たちがそこまで上っていく可能性は十分にあると思っています。

――実現するとすれば、いつ頃だと考えていますか。

稲川:「MOMO」に加えて、「ZERO」の打ち上げができれば、ロケットラボくらいの価値があるとみられるのではないでしょうか。現時点でも、民間単独のロケットの宇宙到達は世界で9社目、液体ロケットで宇宙に到達したのは世界でスペースX、Amazonが出資しているブルーオリジン、ロケットラボに次ぐ4社目です。米国以外の企業では初めてという位置につけています。日本のベンチャーではユニコーン企業は非常に少ないですが、それだけのポテンシャルはあると感じています。

――ISTは自社で技術を開発し、部品も全て国内で調達していますよね。この点は世界の宇宙ベンチャーと比べても、客観的な強みになりますか。

稲川:圧倒的な強みになると思います。新型コロナウイルスのような状況は想定していませんでしたが、日本国内で独自に調達できて、自社で技術を持っていれば、最終的には生き残ることができますし、それこそが企業の競争力です。技術的な基盤に加えて、地元との良好な関係などいろいろな面で会社としての価値もありますので、私たちはいいポジションを取れていると考えています。

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漫画「宇宙兄弟」ともコラボレーション(【新型コロナに負けない!】インターステラテクノロジズは宇宙開発をあきらめない!!より、©Chuya Koyama Kodansha)

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