ネット麻雀、遠隔カラオケ……オンラインでつながり始めたアクティブシニアたち:“在宅”で変貌するサービス(2/2 ページ)
新型コロナウイルスの影響で人と人を結び付けるネットワークサービスにも変化が現れている。
企業が“ネット飲み”を支援する理由
一方、低コストで求める人材を集めやすいことから多くの企業が取り入れているリファラル採用でも、オンライン化が進んでいる。デューダブランドで知られるパーソルキャリアの社内ベンチャーとして、同社より出資を受けてスピンアウトしたHRテックベンチャー「MyRefer」も、オンライン会議システムを自社のシステムに積極的に取り入れようと、こちらも4月10日に機能を追加した。
社員個人が自社に向いた人材を紹介するリファラル採用は、外部リソースを使った人材探しよりも低廉なだけではなく、企業文化にフィットした能力の高い人材を採用しやすいといった利点があるが、一方で紹介する社員の人脈に依存する。
MyReferは人事部門と社員たちをつなぎ、社員から寄せられる情報などから人材情報をプール。採用につなげるまでのさまざまな仕組みがオンライン化されており、社員側はスマートフォンのアプリから、簡単に所属する企業が求める人材情報を入手できる。
もっとも、“必要な人材を社員が積極的に探してくる”ケースは少なく、大多数は日常的なコミュニティーの中で友人と接することで採用が進むことがほとんどだという。MyReferの広報の岩田知佳氏によると「同窓会や知人との会食の中で、知人の転職に対する意識や仕事のスタイルなどを知り、自社にマッチするのではないかと誘うケースは7から8割に達する」という。
新型コロナウイルスの影響で、そうした社外交流の場が失われていることから、より積極的に社外との交流を促す動きは、すでに出始めている。社外とのコミュニケーションだけではなく、社内コミュニケーションも接点が薄くなりがちだからだ。
例えば、グリーは月に1回、1人3000円までオンライン交際費を支給、ネットフロンティアもリモートランチ会500円、リモート飲み会1000円までを支給する。さらにバリュークリエーションは、特に1回あたりの制限を設けず毎月最大8000円まで費用負担する。
MyReferはこうした流れをリファラル採用でも活用できるよう、社員が気軽にオンライン飲み会を申請できるよう、オンライン会議のURLを入力できるようにした。すでにうるる、エス・エム・エスキャリアといった企業が採用を決めている。
オンラインで遊びと学びのコンテンツをワンコインから
一方、RambleOnが運営を開始したAsovivit(アソビビット)は子どもの遊び場をオンラインで提供しようという取り組みだ。サービス開始は4月27日と出来立てホヤホヤ。オンラインでのコミュニケーションにはZoomを用い、多様なジャンルのスペシャリストが子供向けのコンテンツを提供する。
実際にサービスにアクセスしてみると、Zoomを通じて児童館で開催されているプログラムに参加しているような印象を持った。コンテンツはお絵描き、音楽、ダンス、語学、工作教室などが用意されており、単なる遊びだけではなく教育の視点も多く取り入れている。
こうしたオンラインコンテンツは月額固定制のサービスが多いが、それぞれ30分のプログラムを個別に購入可能とし、最初の一歩を踏み出しやすくなっている。まだコンテンツ数は少ないが、両親、子供がともに自宅で過ごす時間が長くなっている中、子どもたち自身がネットを通じて遊ぶ場を作るというのは興味深い視点だ。
冒頭でも言及したように、社会全体がオンライン会議システムを使いこなすことが当たり前になってきたことで、各種サービスの機能や使い方の幅は広がっていくだろう。足元の業務を見直す、あるいは新規事業開発を行う際、オンライン会議システムをどう応用するのか、優先順位を上げてアイデアを捻り出してみるべき時期なのかもしれない。
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