電動スクーター「ブレイズスマートEV」は、なぜ3000台以上も売れているのか:あの会社のこの商品(3/5 ページ)
名古屋市に本社を置く自動車ディーラーのブレイズが開発した電動スクーター「ブレイズスマートEV」が注目を集めており、売れ行きも好調だ。人気の秘密を取材したところ……。
時間をかけて各種試験を繰り返す
ブレイズスマートEVで、まず目を引くのはデザイン。一般的なスクーターとはまったく異なる独特なデザインを採用した。このような独特なデザインを採用したのは、「スクーターのデザインは昔からほとんど変わっていないから」と市川氏。新たなEVモビリティー文化にふさわしいデザインを志向した。
車両重量は約18キログラムで、乗車定員1名ながら最大積載量が120キログラムもある。見た目から受ける印象以上に頑丈にできている。安全に関わることもあり、「繰り返し何度も耐久試験を実施した」と市川氏は話す。
試験は実施回数だけでなく種類も多彩。最大荷重試験やハンドル車体荷重試験、自走試験のほか、塩水試験、電装試験、リチウムイオンバッテリー試験を実施している。
サイズは全長1200×高さ950×幅650(単位:ミリメートル)で、タイヤサイズは前後ともに直径315ミリメートル。設計試作の段階では、現在よりタイヤサイズを大きくしたものや小さくしたものも検討した。ただ、タイヤサイズを大きくするとフレームを大きくすることになり、小さくすると車体を小さくできるものの小型のモーターやバッテリーしか搭載できずパワー不足。実用性を損なうことなく小型・軽量で使いやすくすることを追求した結果、現在のサイズに落ち着いた。
折りたたむとサイズが全長約600×高さ1200×幅350になる。5ナンバーサイズのコンパクトカーの荷室はもちろんのこと、軽自動車でも荷室の広いものであれば積むことができる。
折りたたみ方は簡単。まず電源を切り後輪ブレーキをかけながら車体右側のロックレバーを下げ、車体のロックを解除。座席部とハンドル部を持ちながら手前に引くように持ち上げたら座席部を押し戻し、ロックレバーを上げて車体をロックすれば、折りたたみが完了する。この間に要する時間は、わずか5秒ほどだ。
「折りたたむ方法は何通りもあるわけではありませんので、まずは折りたたむ方法から決め、デザインしました」と市川氏。こうしたこともあり、設計試作段階のデザインと現在のデザインには大きな違いはないという。
デザイン性の高さや折りたたみの簡便さだけでなく、走行性能なども気になるところ。最高速度は時速30キロメートルだが、4つの走行モードを搭載。スムーズに発進できるものや発進時から力強く走り出すモードなど、状況に応じて選択することができる。
このほかにも、ブレイズスマートEVはオートクルーズや防犯アラートなども搭載したほか、スマートキーを採用している。Bluetoothにも対応しており、カーナビアプリを搭載したスマートフォンを接続すればカーナビとして使うこともできる。
関連記事
- 6畳弱の狭い物件に、住みたい人が殺到している理由
6畳弱の狭い物件が人気を集めていることをご存じだろうか。物件名は「QUQURI(ククリ)」。運営をしているピリタスの社長に、その理由を聞いたところ……。 - なぜ「スーツみたいな作業着」をつくって、しかも売れているのか
スーツのような作業着「WORK WEAR SUIT(ワークウェアスーツ)」が売れている。製造しているのはアパレルメーカーでもなく、作業着メーカーでもない。水道工事などを行っている会社がつくったわけだが、なぜこのような商品を開発したのか。その狙いを聞いたところ……。 - なぜカシオの「余り計算機」は、いまの時代でも売れているのか
調剤薬局や物流会社の倉庫では、電卓で余りを計算することが頻繁にあり、効率化が求められていた。このようなニーズから生まれたのが、カシオ計算機の「余り計算電卓 MP-12R」だ。特定のユーザーを対象にした専門的な機能を搭載したニッチな電卓の、誕生までの歩みを追った。 - えっ、家が喫茶店になる? 自宅焙煎ができる「ホームロースター」が面白い
調理家電で、またひとつユニークな商品が登場した。コーヒーの焙煎機だ。大阪の家電メーカー「ライソン」がクラウドファンディングで公開したところ、3200台以上が売れた。家電量販店などであまり目にしない商品は、どのようにして開発されたのか。同社の社長に聞いたところ……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - 2万台以上売れた「焼きペヤングメーカー」が、できるまでのこと
関東でカップ焼きそばといえば「ペヤング ソース焼きそば」。絶大な人気を誇るペヤングを焼いてつくる調理家電「焼きペヤングメーカー」をご存じだろうか。大阪に本社を構えるライソンという会社がつくったものだが、開発秘話を聞いたところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.