木村花さんへのヘイトを煽ったフジテレビは、「無罪放免」でいいのか:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演中だったプロレスラー、木村花さんが死去した。彼女を死に追いやったと言われている「ネットリンチ」は、なぜ起きたのか。番組を制作していたフジテレビに責任はないのか。
「このような悲劇はもう二度と繰り返してはならない」というムードが瞬間風速的に盛り上がるが、喉元過ぎればなんとやらでまたしばらく経つと同じような悲劇が量産されていく。いつまでこんなことを繰り返しているのだろうか。
フジテレビの恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演中だったプロレスラー、木村花さんを死に追いやったと言われる「ネットリンチ」のことだ。
ご存じのように、同番組内での木村さんの言動にイラついた”アンチ”の人々が彼女のInstagramに執拗(しつよう)な誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)を行い、その数は1日100件にものぼり、バッシングは彼女の母親のSNSまで及んだという。
将来を嘱望されていた木村さんの突然の悲劇を受けて、多くのレスラーたちが「狂っている」と怒りの声をあげたが、まさしく狂気の沙汰としか思えぬ粘着ぶりで、彼女に罵声を浴びせ続けた人間がかなり存在しているのだ。
これを受けて今、「SNS上の謗法中傷が裁かれる社会」を求める声が急速に盛り上がっている。立憲民主党の蓮舫さんもSNSで「対策に動きます」と表明。現行のような開示請求からの罰金などの処罰だけでは抑止力がないので、さらなる厳罰化や、犯人の実名を公表するなどの「見せしめ」も必要ではないかという意見も出てきている。
個人的には、ネットリンチは傷害や暴行と並ぶ犯罪行為だと思っているので、このような議論が起きるのは喜ばしいことだが、一方であまりこっち方面の話ばかりが盛り上がってしまうことで、ある企業の彼女の死に対する「責任」がウヤムヤにされてしまわないかと心配している。
その企業とは、フジテレビだ。
関連記事
- なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - 「喫煙者は新型コロナにかかりにくい」 まさかの新説は本当か
アメリカやフランスの研究チームが、ちょっと信じられない研究結果を発表した。「喫煙者は新型コロナにかかりにくい」というのだ。まさかの新説の裏に何があるのか。 - 人手不足は本当に「悪」なのか 騙され続ける日本人
人手不足が原因で倒産する企業が増えているようだ。東京商工リサーチのデータをみると、前年度から28.6%も増えて、過去最高を更新している。数字をみると、「人手不足=悪」のように感じるが、本当にそうなのか。筆者の窪田氏は違う見方をしていて……。 - 「若いときにひどい目にあった」自慢のおじさんは、なぜヤバいのか
8月下旬、三菱電機の新入社員が自殺していたことが明らかに。教育主任から「死ね」と言われていことが分かって、この主任は書類送検されたという。それにしても、なぜ同じような問題が繰り返されるのか。背景にあるのは……。 - 登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
登山家の栗城史多さんがエベレスト登頂に挑戦したものの、下山中に死亡した。「ニートのアルピニスト」として売り出し、多くの若者から支持を集めていたが、登山家としての“実力”はどうだったのか。無謀な死に追い込まれた背景を検証すると……。 - 結局、Zoomは使っても大丈夫なのか?
コロナ禍でテレワークの需要が高まる中、一気に知名度を上げた「Zoom」。しかしユーザー数の急増に伴い、セキュリティの不備が次々と発覚している。Zoomを使っても構わないのか? 慎重になるべきか? 問題点と対策を整理した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.