コラム
米国の老舗食品ブランドが、コロナ危機で再興している秘密(4/4 ページ)
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、航空業界やホテル業界などが苦戦している。そんな中で、チャンスをつかもうとしている企業もでてきている。加工食品を扱う、大手食品メーカーだ。
老舗ブランドにとって最大のチャンス
これまで、オーガニックやナチュラル食品のトレンドにより、老舗ブランドの立ち位置は大きく揺らいできた。消費者は値段が高くても素材にこだわったニッチなブランドを好むようになったり、あるいは低価格のプライベートブランドが脚光を浴びるようになり、二極化が進んできた。
人工着色料や調味料、食品添加物を多く含む加工食品を製造販売してきた大手ブランドも、こうした状況を見過ごしてきたわけではない。健康志向のトレンドに合わせて、オーガニックや植物由来の商品を販売するほか、素材にこだわった高級路線の商品を開発するなど、地道な取り組みをしてきた。
その努力も虚しくビジネスが低迷していた老舗ブランドだったが、今回のコロナ危機により思わぬところで注目されることになった。この状態がどれほど続くのか予測するのは難しいが、予期せぬ需要の急増でビジネスが救われているのは間違いない。
もちろん、加工食品の急激な需要は一時的で、パンデミックが落ち着けば元に戻るかもしれない。あるいはその逆で、経済不況により食生活も節約志向になり、加工食品の価値が見直されるかもしれない。
ただひとつ言えるのは、老舗ブランドにとって今が最大のチャンスに変わりはないことだ。これまで加工食品を避けてきた消費者に、品質が向上された保存食品を試してもらう良いきっかけになりそうだ。
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