首都圏の鉄道会社、決算は大荒れ:新型コロナの影響(1/4 ページ)
首都圏に拠点を置く主要鉄道会社の決算がでそろった。やはりである。新型コロナの影響を受けていて、決算は厳しい結果に。
前回の記事「首都圏の鉄道会社、決算はどうだった? 新型コロナの影響でこれからは」では、首都圏で決算を早めに発表した鉄道各社の状況をまとめた。どの社も、2月からの新型コロナウイルスによる影響が大きく、その影響が第3四半期まで積み上げてきた実績を打ち消していた。
そんな状況の中、首都圏主要各社の決算が出そろった。西武ホールディングスのように、5月12日に予定していた決算発表を、26日に延期したところもある。在宅勤務の従業員を増やすため、という理由だという。
また決算発表の際に各社「決算短信」を発表するだけではなく、関連する資料も同時に発表している社もある。この資料には、新型コロナの影響についても触れているものがあり、その厳しさが感じられる。
決算の話を紹介する前に、新型コロナの影響を各社どう見ているかを記していこう。
新型コロナで縮小する4月からの鉄道営業実績
多くの人が鉄道に乗らなくなったことから、新型コロナによる鉄道会社への影響は容易に想像できる。
京急電鉄の鉄道事業の輸送人員は4月に約60%減、5月1日からは約70%減である。その中でも京急のドル箱でもある羽田空港各駅の利用者は、4月は約70%減、5月1日からは約90%減となっている。外出自粛による空港利用者の減少が大きく響いているといった感じだ。
小田急電鉄の鉄道事業の輸送人員(4月)をみると、通勤定期利用者は17%減、定期外利用者が69.3%減となっている。さらに関連事業では、小田急百貨店の食品フロア以外の臨時休業の影響が大きく84.6%減、ハイアット・リージェンシー東京も稼働率4.2%となっている。小田急ではロマンスカーの休日運行も中止になる中、関連事業もろともシュリンクしているのが現状である。特に新宿エリアで人気の高い小田急百貨店の大部分閉店は、鉄道事業と密接に関わっている百貨店事業の厳しさを感じさせるものがある。
東急も4月の利用者は、前期比51.7%減という数字となった。百貨店事業も64.8%減である。小田急に比べ減少率が低いのは、百貨店事業の中でも開店している食品売場の存在感が大きいといえるだろう。
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