6700億円赤字の日産自動車 待ったなしの「選択と集中」、その中身とは?:生産能力と商品数は2割削減(3/3 ページ)
日産自動車が発表した2020年3月期決算では、純損益が6712億円の赤字に転落。“拡大路線”からの転換ができていない中で新型コロナによる危機が襲った。構造改革を進める4カ年計画では、生産能力や商品数の削減などによる「選択と集中」を加速させる。
日本・中国・北米に集中、それ以外はアライアンスを活用
事業地域についても、仏ルノーや三菱自動車とのアライアンスを活用しながら「選択と集中」を進める。
主要市場と位置付けるのが、ホームマーケットの日本のほか、中国と北米だ。販売が好調に推移している中国では健全な運営を継続するため、北米では急務である収益性回復のためにリソースを集中する。南米、東南アジア、欧州の事業はアライアンスによる連携を活用することを前提に、適正な規模に縮小。韓国やロシアでのダットサン事業からは撤退する。
技術開発では、日産の大きな強みといえる電動化と先進運転支援技術に注力。電動化では、EVや「e-POWER」搭載車種を広げ、年間100万台以上の電動化技術搭載車の販売を目指す。運転支援技術では、高速道路などの同一車線での自動運転技術「プロパイロット」を拡大。搭載車を年150万台以上販売する計画だ。
5月27日には、アライアンスを組むルノー、三菱自動車と3社で、開発・生産の効率化と競争力向上に向けた取り組みを発表。各事業領域や地域において、1社がリーダーとして主導し、他社がサポート役となる体制を整える。日産は運転支援技術の開発や、中国・北米・日本の事業でリーダーを務める。
つまり、強みを生かせる領域や強化していく地域を絞り込んで事業を加速させ、それ以外の分野では、アライアンスのサポート役に徹し、その資産を活用しながら事業を継続させていく。
内田社長は「日産を必ず成長軌道に戻す」と力を込める。その上で、「まずは経営層から意識を変え、社内の内向きな文化を変える。そしてお客さまや取引先からの信頼を取り戻したい」と決意を語った。カルロス・ゴーン前会長が進めた拡大路線を、時代に合った戦略に転換しきれずにいる中で、新型コロナの新たな危機に見舞われた。大胆な改革の実行に、もう時間はかけられない。
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