6700億円赤字の日産自動車 待ったなしの「選択と集中」、その中身とは?:生産能力と商品数は2割削減(2/3 ページ)
日産自動車が発表した2020年3月期決算では、純損益が6712億円の赤字に転落。“拡大路線”からの転換ができていない中で新型コロナによる危機が襲った。構造改革を進める4カ年計画では、生産能力や商品数の削減などによる「選択と集中」を加速させる。
「キックス」「アリア」など新型車投入も急ぐ
24年3月期を最終年度とする4カ年計画の大きな柱は「最適化」と「選択と集中」だ。過度な販売台数拡大は追わず、余剰資産を整理し、強みを生かせる地域や領域に経営資源を集中させる。それによって、最終年度には営業利益率5%を目指す。
生産体制については、現状の販売台数でも収益を出せるように整理する。グローバルの生産能力を年720万台(18年度)から20%削減し、通常の状態で540万台とする。そのためにインドネシア工場を閉鎖してタイに生産を集約するほか、スペインのバルセロナ工場も閉鎖に向けて協議を進める。北米でも、車種やプラットフォームごとに生産を集約する。工場稼働率は80%以上を維持し、需要拡大時には最大で年600万台まで生産能力を増やせる体制をつくる。
商品ラインアップも20%削減し、69車種から55車種以下に絞り込む。競争力が高いSUVや電気自動車(EV)といった車種に経営資源を集中させる。
商品については、遅れていた新型車投入も急ぐ。今後18カ月で12車種を発売する計画だ。6月には日本で新型SUV「キックス」を投入。「ノート」や「セレナ」にも採用した電動パワートレイン「e-POWER」を搭載し、独自の強みを打ち出す。さらに7月には、19年の東京モーターショーでコンセプトカーを公開していた新型EV「アリア」の市販モデルを発表。北米では、SUV「ローグ」の新型車発売も控える。
生産能力や車種の削減のほか、一般管理費の15%削減などによって、固定費は18年度比で3000億円減らす。削減は今期に達成し、その後はその水準を維持していくという。
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