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多くの人に「感謝」されているのに、なぜ医者の給与は下がるのか:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
新型コロナの感染拡大を受けて、日本の医療界が大変なことになっている。患者があふれて「医療崩壊に陥った」といった話ではなくて、患者が増えたにもかかわらず、医療従事者の給与がカットされるかもしれないというのだ。どういうことかというと……。
一人当たりの仕事量
なぜここまでブラックになるのかというと、一人当たりの仕事がすさまじく多いからだ。
例えば、「第9回医師の働き方改革に関する検討会」(2018年9月3日)で配布された「諸外国の状況について」という資料の中に、諸外国の医療体制を比較した一覧がある。その「病床百床あたり臨床看護職員数」を見ると、アメリカは394.5、イギリスが302.7、ドイツが164.1、フランスが161.8。では、我らが日本はどうかというと、83と断トツに少ない。これはつまり、日本の看護師のみなさんは、海外の看護師よりも圧倒的に受け持つ患者が多く、過重労働に陥っているということなのだ。
さらに問題なのは、この先進国の中でも際立ってハードな働きぶりが正当に評価されていないことである。日本の賃金が先進国の中でも際立って低いのは有名だが、看護師もそこに含まれる。欧米と比べてかなり低賃金なのは当然として、国内労働者の中でも低い部類に入る。看護師、介護職の全国一律の最低賃金の新設を求めている、日本医療労働連合会の署名キャンペーンのページによれば、「同等の社会的役割を有する高校教員と比較すると、11万円以上もの格差」があることに加えて、同じ看護師でも東京のような大都市と地方で初任給に約9万円も開きがあるという。
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