「監視」や「名ばかり管理職」はもういらない 「ニューノーマルのテレワーク」に必要なものとは?:「感染対策」にとどめず成果へ結び付けるために(1/4 ページ)
ニューノーマルの最たるものといえるテレワークだが、最近では社員の監視システムが登場するなど、旧来の「時間管理」の延長で運用する企業も少なくない。しかし、これでは新しい時代を企業が生き抜くことは難しいだろう。ようやく定着の兆しを見せるテレワークを「感染防止策」にとどめず成果に結び付けるには? 大関暁夫氏が解説する。
現下の新型コロナ危機は、政府の緊急事態宣言解除をもって取りあえず最初のピークは過ぎた、というのが世間の共通認識ではないでしょうか。しかしこの先、まだ第2波、第3波が起こる可能性は高いといわれており、ビジネス界でビフォーコロナ状態への後戻りはないということはもはや常識になりつつあります。すなわち、今後各企業はウィズコロナをキーワードとした「ニューノーマル(新常態)」を受け入れつつ、しっかりこれに対応していくことが求められてくるといえます。
現時点でコロナ禍によりもたらされたニューノーマルの最たるものは、在宅勤務の広がりで一気に日常化したテレワークでしょう。新型コロナ危機が企業活動に影響を及ぼし始める以前は、テレワークという言葉すら一般的にはさほど耳なじみのあるものではありませんでした。しかしここ3カ月ほどで、今やテレワークを知らないビジネスマンはいない、というほどビジネス界に浸透しました。
意外に知られていませんが、テレワークは今から7年前の2013年に政府が公表したアベノミクス戦略に、20年を期限としてその促進目標が盛り込まれています。具体的には「3本の矢」における第3の矢「民間投資を喚起する成長戦略」としてIT政策の指針を示した「世界最先端IT国家創造宣言」中の、「2020年には、テレワーク導入企業を2012年度比で3倍、週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の10%以上に」というくだりがそれです。当時の直接的な狙いは、女性の活躍を念頭においた勤務体系多様化による就業支援でした。現在、都市部だけでいえば在宅勤務率はかなり高まっており、その背景にコロナという有事発生の“神風”があるとはいえ、政府の所期の目標はめでたく大幅達成確実となったわけです。
テレワークが定着の兆しを見せてきた今、今後の本格導入に向け新たな管理体制構築に関する悩みが企業経営者から聞こえています。これまでは、オフィスに社員を通勤させることで所定勤務時間内を社内拘束して仕事に専念させる、という行動管理が成立していたわけなのですが、テレワークとなるとそれは不可能です。性悪説に立って考えるなら、管理者の目が行き届かない状況下では「所定勤務時間内に仕事をしないでサボっているかもしれない」という疑念が生まれるわけです。この対策として、登録された社員PCが稼働しているか遠隔確認できるシステムや、さらにはPC画面で何をしているかをリアルタイムで確認できるシステムまでもが販売されていると聞きます。
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