テレワーク中にサボっていないか、日本企業が従業員を熱心に監視してしまう理由:働き方の「今」を知る(1/6 ページ)
テレワークで従業員がサボらず仕事しているかを“監視”するシステムが話題になった。テレワークは本来「成果」を出すためなら「働く場所」を問わない制度のはず。それなのに、なぜこうなってしまうのか。ブラック企業アナリストの新田龍氏は、海外のケースを引きながら、「サボり」に対する国内外の温度感の違いを指摘する。
新型コロナの感染拡大を受けて、企業での導入が増えるテレワーク。その一方で、部下の仕事を管理するための「監視ツール」ともいえるサービスが話題になった。
前回の記事では、生産性を高め、日本に成果主義が根付くための一手だったはずのテレワークが、監視ツールによって骨抜きにされてしまう可能性や、日本企業で成果主義を導入しながらも失敗してしまったケースを紹介した。今回は、日本と諸外国の労働市場や雇用慣行の違いや、日本企業でも成果主義を上手に活用している事例などを紹介していく。アフターコロナを見据えた、強い企業づくりの参考としてほしい。
【前回記事】話題の「社員PC監視ツール」がテレワークを骨抜きにしてしまう、根本的理由
欧米は本当に「ワークライフバランス」がすぐれているのか?
日本と欧米の働き方の違いを表すステレオタイプなイメージとしてよく挙げられるのが、
「日本人は働き過ぎ、欧米人は定時に帰って家族との時間を大切にする」
「日本人は有休もとらずに働き、欧米人は丸々1カ月のバカンスを楽しむ」
「日本人は長年1つの会社で働き、欧米人はキャリアアップのためよく転職する」
といったものだ。
このように、一般的に欧米では、広くワーク・ライフ・バランスが実践されているとの印象が行き渡っているが、この認識は一部で間違っている。正確には、「出世や管理職とは無縁のノンエリート層では余暇が充実し、ワーク・ライフ・バランスも行き渡っているが、管理職や企業経営を担う一部のエリート層は、日本以上にハードワークである」というのが実情だ。
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