「無断キャンセル」で飲食店を殺すな:3重の苦しみ(2/3 ページ)
「緊急事態宣言終了は早すぎる」という声があるが、体力に乏しい零細飲食店にはもうぎりぎりのタイミングだったはず。何とか生き延びた店にもいくつか大きなハードルが立ちはだかる。「無断キャンセル」だ。
先に触れた通り、飲食店というのは利益率の低い業種だ。そんな飲食店にとって食材を無駄にしてしまうのは非常に痛い。
さらに予約人数が多い場合、店側ではスタッフを臨時に増強する必要に迫られるが、その人件費は無断キャンセルの場合にはまるまる損失につながる。この場合、4重苦だ。
ではなぜ消費者は無断キャンセルなどという「非道なこと」をしてしまうのだろう。
昨年、ある民間機関が消費者に対し無断キャンセルの経験と理由をアンケートしたところ、1割以上の人が「無断キャンセルをしたことがある」と回答している。
無断キャンセル経験は20〜30代が圧倒的に多数を占めており、グルメサイト経由での予約の場合がやはり多数を占めるという。要は、手軽に予約できる分だけ、気軽に無断キャンセルしてしまっており、「非道なこと」をしているという意識はほとんどないのだ。
正直、「約束を守らない日本人がそんなに多いのか?」と信じられない思いだ。我々の世代だと、そもそも複数の店をダブルブッキングすることは考えられないし、仮に「キャンセル待ちしていた本命の店の予約が取れたので次善の店をキャンセルする」といった状況なら、先に予約しておいた店に迷惑をかけたくないので、何はさておきキャンセル連絡をするだろう。
もしかすると、無断キャンセルするような輩は飲食店への予約を「約束」と捉えていないのかもしれないし、自分の身勝手な行為が店に及ぼす「迷惑」を意識すらしていないのかもしれない。
こうした人々はそもそも想像力が乏しくて、すべての事柄を改めて丁寧に説明されないと、物事がどう影響を及ぼすのかを自分の頭では考えることができないのではないだろうか。しかしそういう「他人の迷惑に鈍感」な連中がスマホで手軽に、グルメサイト経由で予約できてしまうことで被害が確実に拡がっていることは間違いない。
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