ウィズコロナ時代、新人研修はどう変化していくか オンラインの強みと弱み:社員研修のプロが語る(1/3 ページ)
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、オンラインで新入社員研修を行う企業も少なくない。社員研修や人材教育を手掛ける企業「新規開拓」の朝倉千恵子社長が、オンライン研修の強みと弱みを解説する。
新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の発令、外出自粛などの影響で2020年度は、多くの企業がこれまでとは違う形で新入社員研修を行っています。私は、社員研修や人材教育を手掛けている「新規開拓」という企業の代表を務めています。当社のお客さま企業の場合でいうと、全体の1割強が予定通りの集合研修(4月上旬ごろまで)、残りは中止・延期になったものもありますが、半数ほどが動画教材やオンライン研修に切り替えとなりました。
それ以外にも、当社が主催する公開セミナー(複数の企業から参加者が集う)も全てオンラインに切り替えました。
緊急事態宣言は解除されましたが、これから新人研修も含めて、全くこれまで通り、元に戻るということはありません。少しずつオンライン化へシフトしていくことは必須の流れといえるでしょう。
「リアル研修ができない今、本当にオンラインで代替可能なのか」「オンラインだからこそできること、リアルでないとできないことはあるのか」など、6月に入った今も多くの企業の人事担当者の方々からご質問やご相談をいただいています。そこで、この2カ月間の当社の取り組みや失敗例・成功例などをご紹介します。ウィズコロナ時代の研修を考えるときに、お役立ちいただければ幸いです。
筆者:朝倉千恵子(株式会社新規開拓 代表取締役社長)
小学校教員を経て、一般企業の営業職として入社。営業未経験ながら、礼儀礼節を徹底した営業スタイルを確立し、3年で売上NO1、トップセールス賞を受賞。
04年株式会社新規開拓を設立。現在までに延べ17万人の社員研修・人材教育に携わる。女性の真の自立支援、社会的地位の向上を目指した、TSL「トップセールスレディ育成塾」を主宰。卒業生は2500名を超える。
著書は全39冊、累計売上部数は約48万部。『コミュニケーションの教科書』(フォレスト出版)、『すごい仕事力』(致知出版社)など。
「オンラインでは、熱意が届かない」は杞憂?
オンライン研修で、まず懸念されるのが「講師と受講生に物理的な距離ができることによって、講師の熱量が受講生までに届かない」という点です。結果として「受講生はいまいち没入感が得られず、ひとごとのように話を聞いているだけになってしまうのではないか」という心配のお声をよく聞きます。
私自身もそう思っていました。コロナ以前にも「オンラインセミナーや動画での研修をしたい」というご相談はありましたが積極的に行ってこなかった理由がここにありました。同じ空間で同じ時を共有するからこそ一体感が出て、こちらの思いを伝えられるものだと思っていました。
ところが、これは杞憂でした。初めてのオンラインセミナーのとき、受講生のほうから「熱意が画面越しにも伝わってきます」と声を掛けていただいたのです。
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