2015年7月27日以前の記事
検索
ニュース

ウィズコロナ時代、新人研修はどう変化していくか オンラインの強みと弱み社員研修のプロが語る(2/3 ページ)

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、オンラインで新入社員研修を行う企業も少なくない。社員研修や人材教育を手掛ける企業「新規開拓」の朝倉千恵子社長が、オンライン研修の強みと弱みを解説する。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

 受講生だけでなく、企業の担当者の方からは「オンラインだと、参加者が集中できないのではないかと心配していたが、むしろ集中していたように思えます」との声もありました。

 よく考えると、オンラインでは、リアルの場よりも講師の表情が良く見えます。100人が同時に受講していたとしても、全員のパソコンの画面に私の上半身がどアップで映っているわけです。これはリアルの研修よりも、講師と受講者の距離が近い状態です。

 目は口ほどに物をいうということわざがありますように、相手の表情が良く見える状態であれば、褒めるときも叱るときも、より一層こちらの思いが伝わりやすくなります。だからこそ本気で心を込めて話していることは、オンラインでもしっかりと受講生にも伝わっていたのです。

オンライン研修の強み

 初めの頃、当社もそうでしたが、お客さまにとってもオンライン研修は「リアルの代わりに仕方がなく」導入したものでしかありませんでした。ところが実際に行っていく中で、リアルでの研修を凌駕(りょうが)するような強みもたくさんあることが分かりました。ここでは大きく分けて3つお伝えします。

 1つ目は、コストカットの面です。講師の移動交通費や会場手配の費用が不要になります。これまでは支店ごと、店舗ごとに開催していた研修も、遠隔でつないで一度でできるようになります(研修内容によっては、人数の制約はあります)。

 例えば、東京で100人が入る研修会場を1日借りようと思えば、最低でも30万円程度はかかるでしょう。地方では会場費は高くつかなかったとしても、講師を招く交通費や宿泊費を考えると、それだけで講師1人当たり、研修費とは別に3万円〜5万円はかかるとみておかなければなりません。オンラインの研修ではそれらの経費は一切不要となります。

 浮いた予算を使って別の講師に登壇依頼をするなど、これまではただ消えていた経費をさらに教育投資に充てられます。

 2つ目は、移動がないため講師選択の幅が広がるという点です。特に人気の講師の場合、移動時間がコストになるため自分の活動拠点近辺でしか研修の依頼を受けていない人もいます。これまで頼みたくても頼めなかった講師にも、オンラインでは依頼できる可能性があります。

photo
写真はイメージです

 そして3つ目が、チャット機能を活用することで、受講生が積極的に参加しやすい環境があることです。これまでリアルの研修の場では、なかなか質問をする隙がなく、手を挙げて発言する勇気がない人も少なくありませんでした。

 オンライン研修では、ビデオ会議ツールのチャット機能を使えば、気軽に質問を講師に投げられます。講師がそれらに答えることで、リアル研修よりも受講生と講師のキャッチボールが盛んになった例もあります。

 受講生からのつぶやきが聞こえてくるのもオンラインならではの良い点だと思います。新入社員の方向けのセミナーを開催したとき、「私も自宅待機を命じられて、どうすれば良いか分からず悶々としています」といった不安な本音が漏れてきたり、「たとえ話がとても分かりやすいです!」といった、その場の感想が送られてきたりしました。

 リアルの研修や講演のときには、そうした受講生の心の声がその場で聞けることはほぼありませんので、非常に貴重なメッセージです。

オンライン研修の弱み

 とはいえ、オンライン研修は必ずしも100点満点ではありません。デメリットについても触れておきたいと思います。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る