「ごはんおかわりロボ」「八百屋併設」 コロナ対策に知恵を絞る外食チェーンの取り組み続々:長浜淳之介のトレンドアンテナ(6/6 ページ)
大手外食チェーンが本格的に営業を再開した。一方で、新型コロナの対策にも知恵を絞っている。各社はどんな取り組みをしているのか。
やよい軒の「ごはんおかわりロボ」
定食屋やファミレスも、緊急事態宣言の期間中は売り上げが半分近く、もしくはそれ以上に減ってしまったチェーンが相次ぎ、新しい生活様式への対応を急いでいる。
プレナスが経営するやよい軒では6月8日に「ごはんおかわりロボ」を採用すると発表した。各店舗に順次導入し、やがては全店に設置される。
ご飯のおかわり自由はやよい軒の売り。大きなジャーからお客が共用のしゃもじを使って、セルフで茶碗に盛る方式だったが、コロナの流行で中止。お客が店員を呼んで、おかわりを持ってきてもらう方式に変更されていた。
茶碗をロボにセットしてお好みの量のボタンを押すと、自動でごはんが盛り付けられる。量は50グラムから200グラムまで4段階で選べる。あとは、ボタンの小まめな消毒と、漬物のおかわりをいかに合理化するかが課題だ。
大戸屋では、5月20日から直営22店で冷凍食品を発売した。これは「店舗が近くにない」「テークアウトを取りに行くのが厳しい」といったお客の声に応えて、19年7月頃から試行錯誤を繰り返し、完成を目指してきた。7月にはECに対応。9月には全店に導入する方針だ。
冷凍食品のラインアップは、「鶏と野菜の黒酢あん(160g)」(税込580円、以下同)、「五穀米おにぎり2個」(200円)など8品目でスタート。レジ横にショーケースを設置して販売する。
生産は外部委託だが、反響は大きく、国内外の流通関係者からの問い合わせが相次ぐ。緊急事態宣言の最中、前年比で3倍以上、テークアウトの売り上げが増えた店もあったほどだ。冷凍食品も加わり、ここ数年の低迷を脱する希望の光が見えてきた。将来的には、店内飲食と物販の売り上げ比率を5:5にするのが目標だ。
サイゼリヤはテークアウトを強化
サイゼリヤでは、4月20日からテークアウト商品を段階的に拡充。28種類のメニューに加えて、5月22日にはテークアウト限定の「お肉&ターメリックライス」4種が登場した。商品は「デミグラスハンバーグ&ターメリックライス」(650円)など。
また、イタリアンデザートとして、冷凍の「イタリアンプリン」と「ティラミス クラシコ」を発売した。ティラミスは6人分の巨大サイズが1740円となっており、話題を呼んでいる。
同社では5月18日に全店一斉休業をして、3密回避の店内レイアウト変更を完了。また、契約農家支援の一環として、レタスとルーコラを店舗限定で販売している。
アクリルの飛沫ガードに注文殺到
ソーシャルディスタンスを確保するための減席を最小限にする施策として、アクリルの飛沫ガードを設置する動きが活発化している。先述のKICHIRIの他、やよい軒、大戸屋、吉野家、松屋、すき家、焼肉ライク、8番らーめん、串カツ田中などが導入した。
業務用厨房機器メーカーのハイサーブウエノ(新潟県三条市)では、ステンレスと組み合わせた飛沫防止ガードを約20種開発。3300台を納入し、7000台が受注済みだ。パーテーションタイプは1台1200円で導入が可能。客席以外にも、丸亀製麺の天ぷらコーナーなどに活用された例がある。
同社の小越元晴社長は「飲食店は油を使うので、レジをコンビニのようにビニールシートで防御すると、火災のリスクが高いのではないか」と訴える。外食が新常態に適応するには、まだまだ多くの課題がある。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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