存在感を増す「応援する消費」から考える、マーケティングの意義:新連載・「新時代」のマーケティング教室(1/4 ページ)
東京都立大学で教授を務め、マーケティングに詳しい水越康介氏の新連載。今回は新型コロナで注目を集めている「応援消費」について解説するとともに、いま、マーケティングすることの意義について考える。
新連載:「新時代」のマーケティング教室
変化の激しいマーケティングの世界。日進月歩での進化が著しいITの力も相まって、これまで以上に担当者はさまざまな知識をアップデートする必要が出てきている。今、マーケティングや消費の現場はどうなっているのか。従来存在している「4P」などの古典的なフレームワークはどう変化しているのか。東京都立大学経済経営学部の水越康介教授が、最新事例なども参照しながら解説していく。
新型コロナで注目を集めるさまざまな「応援」
毎週土曜日の夕方、日テレで『満天☆青空レストラン』という番組が放映されている。宮川大輔さんが何でもおいしそうに食べるところが印象的な番組だが、外出自粛要請のために新しいロケができずにいるようだ。このところは、以前の内容を再放送しながら、そのときに出演してくれた現地の人々からビデオレターと取り寄せできる食材を送ってもらい、宮川さんが1人で料理して食事するという流れになっている。
以前放送された内容を思い出しながら、「やっぱり生産者は今、困っているのだな」とか「引き続きがんばっているのだな」といった時間の経過を感じられて興味深い。合わせて、当時とは異なり、その食材を自分も取り寄せてみようかという気にもさせてくれる。
番組のWebサイト上では「全国生産者応援プロジェクト」として、取り上げた食材の販売先が紹介されており、好評を博しているようだ。同サイト内のブログでも、「青空レストランでは、お世話になった生産者の皆さんにとって少しでも力になれるよう、過去に取り扱った食材の中から自宅でも楽しめるお取り寄せ食材を再びご紹介します」と紹介している。番組を挙げて生産者を応援しようとしていることが伺える。
各地で生産された食材が新型コロナウイルスの影響で行き場を失っており、それに対して青空レストランに限らずさまざまな応援プロジェクトが行われている。例えば、食文化(東京・中央)が運営するECサイト「うまいもんドットコム」は、休校になってしまった学校の給食素材を提供するキャンペーンを5月7日まで、農林水産省の協賛を受けながら精力的に続けていた。また、例年春時期に開催されることが多い「北海道物産展」がオンラインで実施され盛況だったケースも話題になった。通常の販売に限らず、ふるさと納税を生かして各地の生産者や医療従事者を支援する試みも盛んとなっており、ふるさとチョイスやさとふるには多くの寄付金が集まっているという。まさにIT時代にふさわしい試みといえる。
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