マーケティングは「無意識」を探る時代に ニューロサイエンスで検証した新商品の効果は?:ダイドードリンコの事例(1/3 ページ)
アンケートやインタビューでは分からない「無意識」を脳波測定などによって可視化し、マーケティングに生かす動きが活発化している。ダイドードリンコはニールセン・カンパニーと共に、新開発の容器の効果を測定した。消費者の感情や記憶に訴える効果はあったのか。
アンケートやインタビューといった消費者調査をしても、売り上げアップにつながらない――。そんな悩みを抱えている企業は多いのではないだろうか。今、消費者の意識や行動を探る調査に新しい技術を取り入れる動きが活発になっている。
それは、私たちの「無意識」を探る技術だ。商品を選んだり買ったりするとき、必ずしもその行動の理由を言葉で説明できるわけではない。意識せずに何かを感じたり記憶が呼び起こされたりして、商品を手に取ることもある。その無意識を分析できれば、消費者の真のニーズを把握することにつながるかもしれない。そこで、脳の動きをセンサーなどで計測することで無意識を可視化するニューロサイエンスを用いた手法が注目されている。
この分野に力を入れているのが、調査会社のニールセン・カンパニーだ。これまでにグローバルで6000以上のテレビCM、2700以上の製品パッケージなどについて、ニューロサイエンスを用いた効果測定を実施してきた。同社は1月30日にプレス向けセミナーを開催し、ニューロサイエンスの効果と事例について紹介した。
“持ち心地がいい”ペットボトルを新開発、効果は?
飲料メーカーのダイドードリンコは、機能性表示食品のお茶「大人のカロリミット」シリーズのマーケティングでニューロ調査を実施した。商品リニューアルに伴って、“持ち心地”を重視した形状のペットボトル容器を新開発。全体に凹凸を付けたり、従来より細くしたりした。アンケートやインタビューによって容器の効果を確認していたが、その裏付けをニールセンのニューロサイエンスに求めた。
「見ても触っても“人に優しい”ボトルを目指して開発したが、アンケートやインタビューだけでは“心地よさ”を確認しきれなかった」と、同社マーケティング部 顧客・市場調査グループの伊藤千尋氏は説明する。
調査対象は、25〜54歳の日本人女性で、月1本以上自分で購入して無糖茶を飲む約50人。「新ボトル」と「従来のボトル」の2グループに分け、それぞれのボトルを見たり触ったりしたときの脳の動きを調べた。また、ダイドーが伝えたいメッセージ「心地よい」「落ち着く」「美味しそう」を含む複数の言葉を実験の最初と最後に見せて、伝わっているかどうかも調べた。
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