銀行も前例こえて賛同 「#取引先にもリモートワークを」運動に共感が集まる理由:アフターコロナ 仕事はこう変わる(2/4 ページ)
新型コロナの影響で普及したテレワーク。書類整理や押印の業務で出社が必要となるケースも多いことが課題になった。それを解決しようと呼びかける取り組みが「#取引先にもリモートワークを」というアライアンスだ。発起人に立ち上げの狙いや反響を聞いた。
テレワーク中に出社が必要となる理由は、取引先から送られてくる書類の確認や整理、請求書などの郵送、押印といった業務があるからでした。中小企業の人たちが、感染のリスクを負って出勤せざるを得ない状況を「なんとかしないと」と感じました。しかし、個々の企業に働きかけるだけでは十分ではありません。大企業も含めて、取引先のことを考えた取り組みをする必要があると思いました。
ちょうどそのころ、メルカリから電子契約を推進していくという発表がありました。同じ問題意識を持っていると感じ、前職の経済産業省で同期だった吉川さんに連絡しました。2人で話す中で、2社だけでなく、多くの企業を巻き込んだ取り組みをやろうという話になり、すぐに数十社の企業に声を掛けて、アライアンスを発足させたのです。
――声を掛けられたとき、吉川さんはどう思いましたか。
吉川: ポジティブに捉えました。メルカリでは4月8日、押印などが必要な契約について、電子署名サービスでの契約締結に切り替えていくことを発表しており、その背景にある問題意識は山本さんと同じです。
ただ、アナログからの転換は大変です。すぐに賛同できない企業もあると思います。このアライアンスは、反発を招く方法ではなく「協力をお願いする」という伝え方で、メッセージの出し方にも共感できました。
――どのように賛同してくれる企業を集めたのでしょうか。
山本: 最初は社内のコネクションや経済団体を頼って声を掛けていきました。「難しい」という企業もありましたが、「IT企業やベンチャー企業だけでやっても意味がない」という主張には多くの企業に同意してもらえました。
伝えたいのは「業務を全てデジタル化しよう」ということではありません。最終的に押印は必要でも、一時的にメールなどで契約を成立できるようにすれば、押印作業はまとめてできるようになります。そうすれば、出社頻度を減らせます。賛同企業には「アクション」を表明してもらっていますが、大規模な取り組みというよりは「今、置かれた状況でできること」を発信している企業が多いです。
約70社の賛同企業には、IT関連だけでなく、メガバンクや地銀なども入っています。特に、取引先が多岐にわたる金融機関が「自社で取り組めること」を発信することには意味があると思います。地銀であれば、地元の企業に対する影響は大きい。「○○銀行がやっているなら(オンラインでも)いいんだ」と思ってもらえるのでは。
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