トヨタ、プリウスに「踏み間違いによる急加速」抑える機能 事故被害軽減へ新技術:外部給電も標準装備
トヨタ自動車は、ハイブリッド車「プリウス」を一部改良し、安全機能や給電機能を強化した。新開発の「急アクセル時加速抑制」機能を初採用。ペダル踏み間違いによる事故が多発していることから、被害軽減につながる安全技術を投入する。
トヨタ自動車は7月1日、ハイブリッド車「プリウス」を一部改良し、安全機能や給電機能を強化したと発表した。新しく開発した「急アクセル時加速抑制」機能を同社として初採用。高齢者などのペダル踏み間違いによる事故が多発していることから、被害軽減につながる安全技術を新たに投入する。
同社はこれまでも踏み間違いによる加速を抑制する機能を導入しているが、既存システムでは、センサーで壁やガラスなどの障害物を検知できる場合しか対応していなかった。トヨタによると、既存システムでも踏み間違い事故の約7割に対応できるが、障害物がない場合の事故にも対応することが課題だった。
新開発にあたって、まずは実際の踏み間違い事故発生時にアクセルペダルが全開で踏まれた状況を分析。その踏まれ方の特徴を、コネクティッドカーから得られたビッグデータと照合した。右折時や一時停止後など、ドライバーが急加速を必要とする状況を除くことで“踏み間違いによる操作”を特定し、障害物がなくても加速を抑制できるようにした。
「急アクセル時加速抑制」機能は、新車向けには「プラスサポート」という名称で提供。障害物を検知して加速抑制とブレーキ作動を行う既存システム「インテリジェントクリアランスソナー」に加えて設定する。
プラスサポートは7月1日発売の「プリウス」「プリウスPHV」を皮切りに、搭載車種を拡大していく。また、販売済みの車種向けに、後付け装置としても「急アクセル時加速抑制」機能の販売を行う。
プラスサポートは、別売りの専用スマートキーで解錠した場合に自動でシステムが起動する仕組み。標準のスマートキーで解錠した場合は起動せず、通常通りの走行となるため、運転者に応じて使い分けることもできる。
給電機能では、災害時などに役立つ外部給電システムを全車標準装備。AC100V・1500Wのアクセサリーコンセントを備えている。また、プリウスPHVでは、太陽光で発電した電力を駆動用バッテリーにためて給電できる「ソーラー充電システム」を全グレードにオプション設定した。
プリウスのメーカー希望小売価格(税込)は260万8000円〜355万7000円。プリウスPHVは331万3000円〜439万2000円。
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