コロナ禍で「社員の出社が前提」のサービスが危機! 「おかん」と「キリン」の生き残り策とは:「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵(2/4 ページ)
コロナ禍でオフィスに出社する社員は減少した。社員向けの福利厚生サービス事業者はどう生き残るのか? 「オフィスおかん」と「KIRIN naturals」の戦略とは。
出社しないなら社員の自宅に送ればいい
そこで、同社は5月13日から在宅勤務者向けの「オフィスおかん仕送り便」をスタートした。これは、個人宅に社食を提供するサービス。オフィスおかんとは違い、企業から100%料金を徴収する。その後、企業が従業員から料金を回収するかどうかは任意となっている。休園・休校の影響で、育児・家事の負担が増した在宅勤務中の従業員を応援するのが目的だ。そのため、サービスの提供期間は約3カ月限定となっている。広報担当者は「今後も需要があれば、本格的な事業化を検討する」と説明する。同サービスを利用している企業数は非公表だが、6月10日時点で300人以上の社員に商品を届けているという。この数は「当初の想定よりも多かった」(広報担当者)という。
同サービスが生まれた背景は、コロナだけではない。もともとオフィスおかんは、企業がオフィス内で福利厚生サービスを提供する手段の一つとして導入していたものだが、家庭に子どもがいる社員が商品を持ち帰って食べたり、弁当に入れたりといった使い方も見られた。持ち帰り需要が高まっていた。コロナがきっかけで、自宅の家事支援という新たなニーズが顕在化したというわけだ。
OKANは、在宅勤務が普及したことで、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性があると考えている。今後、テレワーク支援などの新たな「福利厚生市場」が成長すると見込んでいるからだ。
経団連が2019年11月に発表した「2018年度福利厚生費調査結果の概要」によると、18年度における経団連企業会員と同団体会員加盟企業1720社の「法定外福利厚生費(持家援助、ヘルスケアサポート、給食など)」は前年度比8.2%増となった。こういった企業の姿勢もOKANのビジネスの追い風になるだろうか。
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