コロナ禍で「社員の出社が前提」のサービスが危機! 「おかん」と「キリン」の生き残り策とは:「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵(3/4 ページ)
コロナ禍でオフィスに出社する社員は減少した。社員向けの福利厚生サービス事業者はどう生き残るのか? 「オフィスおかん」と「KIRIN naturals」の戦略とは。
スムージーと健康セミナーを提供
キリンビバレッジは19年1月、法人向け福利厚生サービス「KIRIN naturals(キリンナチュラルズ)」を全国展開した。
キリンナチュラルズは、オフィスに野菜と果物のスムージーを届けるとともに、企業の要望に沿った健康セミナーを開催するサービス。17年9月から首都圏限定で試験的にサービス提供していたが、「健康経営」に対する意識が高まってきたことから全国展開をすることになった。
キリンナチュラルズの導入企業は、スムージーを毎月必要な分だけ購入して冷蔵庫などで保管する。従業員は自由に取り出し、スムージーを飲む。従業員に1個あたり100円を負担してもらう企業もあれば、「健康診断を受けた社員は無料」「朝食を摂取した社員は無料」といった使い方をする企業もあるという。
健康セミナーのメニューは、野菜ソムリエがオフィスに野菜を持参して「おいしいニンジンの見分け方」を解説するセミナーや、日頃の疲れをいやす「オフィスdeエクササイズ」などを用意。外部の事業者と連携しながら、企業の要望に応じてカスタマイズされたセミナーを提供していた。
4月1日時点で、キリンナチュラルズを導入していたのは280拠点だった。工場関連施設では、毎月1500本のスムージーが購入されたこともあったという。
しかし、コロナ禍で状況は一変した。キリンビバレッジの大石俊介氏(企画部 新規事業開発室 主任)は「オフィスで提供するのが前提のサービスでしたので、4月と5月にはセミナーの開催件数はほぼゼロでした。スムージーの売り上げもゼロを覚悟していましたが、激減したというほどではありませんでした」と振り返る。
キリンナチュラルズ事業は確かに苦戦したが、大石氏はコロナ禍でも可能な従業員の健康意識を高める取り組みを模索した。
例えば、4月7日から導入企業を対象に、「お家でフィットネスプログラム」をインターネットで無料配信した。再生回数は10日間で2000回以上だったという。これは、想定していた以上の反響だった。4月28日には「お家でできる#コロナ太り解消ダイエットプログラム!」をライブ配信した。
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