“すれ違い”が注目されたリニアトップ面談「それでも悲観しない」理由:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/5 ページ)
リニア工事を巡るJR東海社長と静岡県知事によるトップ面談は和やかに終わったが、ヤード工事の認識ですれ違いが生じ、県側は再開を認めなかった。それでも悲観する結果ではない。報道や世論で対立を煽るのではなく、トップ同士が意思確認する場を作れたことをまずは評価しては。
JR東海の金子社長と静岡県の川勝知事による面談は和やかに終わった。面談の直後、個別に記者会見が開かれた。報道によると金子社長は「知事は条例をクリアできればいいとおっしゃった。クリアの仕方は詰め切れなかった」と語る。心残りという言葉も交えつつ、道筋は見えたと感じたようだ。
一方、川勝知事は「整備工事はすでに認めている。トンネルなど本体工事と違うならいいと伝えた」。また、ヤード工事は明確にトンネル工事ではないという認識で、5ヘクタール以上の開発であれば条例に基づいた協定を締結すれば問題ない、とも発言したという。ポイントとなる「条例の手続き」については県の担当者に説明させると締めくくった。
(トップ面談の内容については「JR東海社長と静岡県知事の『リニアトップ面談』にツッコミを入れる【前編】【後編】」で解説しています)
ところが、県の担当者は「知事の考え方はそうではなく、JR東海の求めた工事はトンネル掘削と同じだから、トンネル工事全体として5ヘクタールを超える協定が必要」と説明した。トンネル本体工事は有識者会議の結論を待つ必要がある。従って、条例、5ヘクタールの基準だけでは許可されない。面談の内容と異なる話だけに、報道からは再度の説明が求められた。川勝知事は2度目の会見に応じ「ヤード工事はトンネル本体工事と一体であり、認められない」と発言した。
個別会見の報道の流れをざっくりとまとめると、川勝知事は面談と会見で相反する発言をした。川勝知事が県の事務方につつかれて手のひらを返したようにも見える。会見の内容が真とするなら、面談の発言は説明不足だし、金子社長が「誤解した」としても無理はない。
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