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英が一転5G排除、中国ファーウェイに迫る次の「Xデー」浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(4/4 ページ)

7月14日、英政府が5G通信網からファーウェイを排除すると発表した。欧州各国はアメリカによる同社排除以降、中国との関係を深めたが、コロナ禍で悪化した対中感情などが背景にあると見られる。また同社は2020年前半の決算を、英政府発表の前夜午後11時すぎにひっそりと発表しており、カナダで拘束中の孟副会長の2度目の審理日「Xデー」が近いともされている。

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孟副会長の判決

 Xデーとは、カナダで拘束されている孟副会長の2度目の審理の判決を指している。

 孟副会長の米国への身柄送還をめぐる審理で、同氏は「逮捕当時、カナダはイランに制裁を発動しておらず、引き渡しの根拠となる行為が両国ともに犯罪と定められていることを表す『双罰性』を満たしていない」と主張していたが、カナダ・バンクーバーの裁判所は5月下旬、「双罰性要件を満たしている」と認定し、孟副会長の主張を退けた。

 孟副会長側は、拘束時のカナダ当局の手続きが適切でなかったとも訴えており、現在は拘束手続きの適法性を巡る審理に移行している。

 その判決が、近々出ると見られており、ファーウェイは米国を刺激しないために「沈黙期間」に入っているというのが、関係者の見方だ。

 決算発表を短いリリースで済ませ、経営陣による説明はなされなかった一方、英政府の決定には即時声明を出したのは、米国の「ファーウェイ包囲網」にとって、英国が最も重要な鍵を握っていることの反映でもある。

 孟氏の2回目の審理の結果は、ファーウェイにとってさらに大きなファクターだ。二けた増収を確保しながらも、これまでにない危機的な状況の中、ファーウェイは20年後半に突入した。

筆者:浦上 早苗

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37

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