ヤフーの副業人材募集、真の狙いは――人材部門幹部に直撃:コロナ禍受けスタート(3/3 ページ)
ヤフーが副業人材の募集を開始。企業側、そして応募側のメリットと課題とは。人材部門幹部に聞いた。
副業人材に「エンゲージメント」は期待できる?
――最近は副業やテレワークの浸透で、本業の会社員であっても会社への「エンゲージメント(愛着)」の揺らぎが懸念されています。副業人材も、ヤフーにどこまで愛着を持ってコア事業に貢献してもらえるかが今後、課題になるのでは。
湯川: 当初から副業人材のそれ(エンゲージメント)が高くなくても私は良いと思う。日本の雇用事情はやはり欧米とは違い、20年ほど前とは変わったもののやはり転職へのハードルは高いもの。むしろ(一般的な)副業をしてみて、この会社のカルチャーがフィットすれば本当に転職してみる、といったインターシップ的な物として機能するのかもしれない。
日本の雇用環境はやはり変わっていく。特に社外での経験を積むことでその人のキャリアは加速するだろう。(人材市場を)グローバルに考えた時に、「1つの会社に閉じこもる」姿勢は考え直さなくてはいけない。
――ヤフーは自社従業員の副業にも肯定的です。ただ、こうした会社の垣根を越えた副業登用が進むと、日本企業の古くからの特徴、仕事よりも会社に帰属意識を持つ「就社」意識が薄まることも考えられます。企業にとっては社外の優秀な副業人材を使える一方、自社社員の忠誠心が下がるなどのデメリットにもつながるのでは。
湯川: 私個人は、就社という概念のあった古い人間だ。ただ、いい意味で今の若い人はキャリアへの自立した意識を持っている。人事もそこを理解しないと、優秀な人材は出て行ってしまう。個人の側も会社にしがみつくだけでは生きていけない。だからこそ、うちは従業員と会社を「イコールパートナー」という関係で、いい意味で緊張感を求めるようにしている。
今回の副業人材募集についても、特に新規事業を考えている従業員からは「自分たちも頑張らないと」「ポジションを取られてしまう」という緊張の声が上がっている。それは健全なことだと思う。
今回の取り組みは、企業と応募者双方にとってチャレンジングな物だ。明らかに今、企業と社員の関係は変わってきており、それに会社側もついていく必要がある。
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