法規制変更で仮想通貨ビジネスはどう変わる? GMOコイン社長に聞く(3/3 ページ)
改正資金決済法と改正金融商品取引法(金商法)が5月1日から施行された。法律上、仮想通貨から暗号資産に呼び名が変わるほか、レバレッジをかけた差金決済取引(CFD)などのデリバティブ取引が規制され、第一種金融商品取引業者としての登録が必要になる。こうした法規制は仮想通貨取引所のビジネスにどう影響するのか。いち早く第一種金融商品取引業者として登録を済ませたGMOコインの石村富隆社長に聞いた。
同程度の収益であっても、黒字を確保している取引所と赤字を脱せない取引所があります。GMOコインは黒字を実現できていますが、コスト面でのポイントはどこにあるのでしょうか。
石村氏 われわれはこのビジネスの前はFXをやっていて、第一種金商業の経験者が多い。この規制が暗号資産に当てはめられたときに、何をしなければいけないかは分かっている。
規制への対応は特殊なところもあるので、外部のコンサルティングを入れたり、外注が必要となったりすると高く付く。内部でこれらに対応できるかどうかでコスト的には差がつくかもしれない。
われわれ以前から暗号資産交換業をやられていた方々は、ブロックチェーン技術やトークンエコノミーの活用など、暗号資産を使って世の中を変えていくというところも視野に入っていると思う。一方、われわれは取引をいい条件で提供するプラットフォーム。そこに注力している。
暗号資産業界の喪は明けたのでしょうか?
石村氏 一時期の、絶対悪だというか、何をやってもダメだ、という空気はない。業界全体の努力だと思う。徐々にだが、新しいことに取り組めるようになってきている。
(ハッキングによる)流出事故についても、対策として押さえておかなくてはいけないことはこの3年間でだいたい出てきている。その上で、営業活動、プロモーション活動もやっていく。しっかりとした会社、業界になっていけば、(株式など)違う商品を取引しているお客さまからも信頼されていくと思う。
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