法規制変更で仮想通貨ビジネスはどう変わる? GMOコイン社長に聞く(2/3 ページ)
改正資金決済法と改正金融商品取引法(金商法)が5月1日から施行された。法律上、仮想通貨から暗号資産に呼び名が変わるほか、レバレッジをかけた差金決済取引(CFD)などのデリバティブ取引が規制され、第一種金融商品取引業者としての登録が必要になる。こうした法規制は仮想通貨取引所のビジネスにどう影響するのか。いち早く第一種金融商品取引業者として登録を済ませたGMOコインの石村富隆社長に聞いた。
従来に比べて厳しい2倍というレバレッジ規制はどんな影響があるでしょう。
石村氏 決まっているので、その中でやるしかない。暗号資産バブルのときには価格が乱高下したので、こうせざるを得ないだろう。ただし最近でいうとボラティリティが全然ないので、2倍でやる必要があるのかという話も、長期的にはあるかもしれない。
取引高がないと収益につながらないので、(レバレッジ規制の)影響はあると思う。ただし、FXもそうだが、投資家は値動きを追って収益を出すので、収益が半分になるとか、レバレッジ倍率に比例して収益が下がるとかいうことはない。
取引所ビジネスの方向性は今後どうなっていくのでしょうか。GMOコインでは、ユーザーと暗号資産を売買する販売所と、ユーザー同士をマッチングさせる取引所の2つのビジネスがあります。
石村氏 本来であれば取引所ビジネスは、出来高に対して手数料をいただくのが一般的なビジネスだが、日本はちょっとユニークだ。レバレッジの取引所は基本的に手数料を取っていない。ファンディングコストと呼ばれる、オーバーナイト(翌日まで持ち越し)したときに建玉手数料をもらっている。手数料主体の海外とはビジネス構造が異なっている。
今後は、取引量に対して手数料をいただく方向を考えている。日本では、ほかの会社も手数料を取っていないので、後発であるわれわれも取っていなかった。今回、手数料を取る形にして試行錯誤している。
流動性があまりなさすぎると、取引したいときに思った価格で取引できなくなるので、レバレッジ取引を提供している銘柄、例えばビットコインなどでは(常時気配値の提示を行う)マーケットメイクも多少入れている。どちらかというと、板自体をキープすることや、ロスカットの際に板がないと次の刻みが大きく離れてしまい、お客さまが損をしてしまうことを防ぐのが目的だ。
現在、収益の半分以上は販売所のビジネスだ。しかし、今後スプレッド(売買の価格差)は小さくなっていかざるを得ない。基本的には、お客さまが喜んでもらえるものを提供して、そこでわれわれも収益を作り出せるモデルを考えている。
我々はロングテール。細かく広く顧客を取っていく。これまでの状況を見ると、市場が大きく動いたときに口座開設数も増える。価格が大きく動いたときに取引したい人がいるからだ。しかし、口座開設が集中するとスタックしてしまいスピーディに口座開設ができず、取引したいときにできなくなる。ユーザーがいざというときに取引できるように、普段から口座を増やしてもらうことを目指している。
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