門外不出の「編集マニュアル」には、何が書かれているのか 累計1000万部を売った話:水曜インタビュー劇場(再現性公演)(4/7 ページ)
「本がなかなか売れない」――。耳にタコができるほど聞き飽きた話だろうが、そんな中でもヒットを連発している編集者がいる。アスコムの柿内尚文さんだ。なぜ、彼が担当した本は売れるのか。その秘密に迫ったところ……。
チカラのある編集者の共通点
土肥: チカラが足りない編集者を「なんとかすることができないか」と考え、門外不出の編集マニュアルを公開することにしたのですか?
柿内: はい。経験やチカラが足りない編集者は、成長するまで待たなければいけないのか。編集の方法論などを伝えることで、時間を短縮することはできないか。再現性のある項目を参考にして動けば、一定の成果を出すことができるのではないか。編集マニュアルを公開するのは問題なかったのですが、それは自分用につくったもの。「自分だけの考えを押し付けるのはよくないなあ」と思ったので、メンバーの声も反映することにしました。
編集部のメンバーも仕事をしていく中で、さまざまな知見がたまっているはず。私が気付いていないノウハウが必ずあるはずなので、そうした知見も共有してもらうことにしました。結果、自分の考えだけでなく、メンバー全員の考えを合わせて、ひとつの形にしました。
土肥: メンバーからは、どのようなコメントがありましたか?
柿内: チカラのある編集者は、きちんと言語化することができているんですよね。なぜこの本をつくっているのか、どういった意図でつくっているのかといったことを説明できていました。きちんと自分の言葉で語れることは、再現できることでもあるんですよね。
一方、経験やチカラがまだ足りない編集者は、言語化できていない。感覚でつくろうとしていて、質問をされても抽象的な答えが返ってくる。「なんとなく流れでつくっている」感じがして。じゃあ、そうした人たちにどのように対応すればいいのか。そこで、書籍のタイトルのつけ方や企画の立て方、見出しのつけ方、売り方などを具体的に伝えていきました。
関連記事
- 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - 「7畳の学生寮」に住む大学生が増えている、いくつかの理由
首都圏を中心に、「学生寮」がじわじわ増えていることをご存じだろうか。どんな間取りなのか気になって取材したところ、そこはとても「狭く」て……。 - なぜ駅ナカで鼻毛を抜こうと思ったのか 「3分 1000円」の世界
駅ナカで鼻毛脱毛を行っている店が、ちょっと話題になっている。店名は「ekibana(エキバナ)」。3分1000円で鼻毛を抜いてくれるこの店は、どのような特徴があるのか。話を聞いた。 - えっ、盗まれないの? 無人の古本屋は、なぜ営業を続けられるのか
東京の三鷹駅から徒歩15分ほどのところに、無人の古本屋がある。広さ2坪のところに、500冊ほどの本が並んでいるだけ。「誰もいなかったら、本が盗まれるのでは?」と思われたかもしれないが、実際はどうなのか。オーナーに話を聞いたところ……。 - なぜ「スーツみたいな作業着」をつくって、しかも売れているのか
スーツのような作業着「WORK WEAR SUIT(ワークウェアスーツ)」が売れている。製造しているのはアパレルメーカーでもなく、作業着メーカーでもない。水道工事などを行っている会社がつくったわけだが、なぜこのような商品を開発したのか。その狙いを聞いたところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.