「他と違った行動を認めない」「テレワークで細かく監視したがる」上司が、企業のイノベーションを阻害している:アフターコロナ 仕事はこう変わる(5/5 ページ)
新型コロナウイルスの感染拡大に伴いテレワーク化が進められている。一方で、「相変わらず、対面の社内ミーティングが必須」といった企業も少なくない。こうした現状について、『職場の問題地図』などの著書で知られる業務改善・オフィスコミュニケーション改善士の沢渡あまね氏は、「日本型マネジメントの根底には、“幼稚性”がある」と指摘。インタビューで真意を聞いた。
現状を変えるために、できること
――現状を変えるために、できることは何でしょうか。
まずは問題を自覚するためにも、外の風を入れて、他社のやり方を知ることが大事です。そして、内部規則によって社員の働き方ががんじがらめになっている状態に気付いたなら、まず業務フローを見直してみてはどうでしょうか。外部人材の登用と活用も大事ですね。
ただし、マネジメント(経営者や管理職)には異なる意見を受け入れる度量と力量が求められますが。そうしないと、外から来た人はその組織に「アンチ」になって去っていってしまいます。ますます、多様な人材が寄り付かない「田舎の残念なムラ社会組織」になり、やがて過疎化します。
自由な働き方に「待った」をかけてしまうルールは撤廃し、オープン型に向かう上でブレーキになる要素を外していくのです。あるいは、変革を邪魔するマネジメント層は退任あるいは冷遇する人事制度も必要かもしれません。
ただ、現状の問題をバックオフィスだけのせいにして、「あとはよろしく」と丸投げするのはよくありません。組織の働き方、カルチャーは、誰かのせいにして解決できる問題ではないからです。日本企業では、組織変革といいながら、その責務を特定の部署や社員に丸投げしているケースが目立ちます。
政府が悪い、官公庁が悪い、社長が悪い、管理職が悪い、現場が悪い――確かに、そうなのかもしれません。というより、皆が等しく悪いのです。誰もが問題を抱えているからこそ、全ての人が正しく成長し、正しくアップデートしていく必要があります。そうした動きのなかで、バックオフィスの人たちは、社内ルールを変えて、外との壁をとっぱらうといいと思います。
そのようにしてオープン型に進化したバックオフィスは、企業の成長をけん引する存在になり得ます。逆にいえば、こうした変革がなければ、日本企業どころか、日本全体が世界に遅れ、沈んでしまいます。
誰か一人(一組織)のせいにして、その人(組織)だけを責め立てて自分は悪くないですって開き直る。それこそ幼稚な行動ですよね。
著者プロフィール
小林義崇(こばやし よしたか)
1981年生まれ、福岡県北九州市出身。埼玉県八潮市在住のフリーライター。西南学院大学商学部卒。2004年に東京国税局の国税専門官として採用。以後、都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所において、相続税の調査や所得税の確定申告対応、不服審査業務などに従事する。2014年に上阪徹氏による「ブックライター塾」第1期を受講したことを機に、ライターを目指すことに。2017年7月、東京国税局を辞職し、ライターとして開業。Twitter、Webサイト。
著作に『確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える! 』(河出書房新社)、『すみません、金利ってなんですか? 』(サンマーク出版)など。
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