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「倍返しより転職しろ」「メガバンクは修羅の世界」半沢直樹にはまる中国人の突っ込み:浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(4/6 ページ)
TBSドラマ「半沢直樹」の続編が中国でもブームで、中国最大の書籍・ドラマレビューサイトでは、10点満点で9.4点をマーク。「勧善懲悪」の分かりやすさが幅広く人気を集める理由だが、結果として、日本の企業文化に対する衝撃や誤解も視聴者から湧きあがっている。ここでは、中国のSNSやブログで続出している突っ込みと考察を紹介したい。
ITスタートアップの買収額1500億円は寂しい
劉さんの言葉を反映するように、「半沢直樹」を観るための解説ブログも日々増えている。19年に日本テレビで放映されたドラマ「あなたの番です」が、多くのSNSでの考察によって盛り上がりに拍車をかけたのと似た状況だ。
「土下座(どげざ):行跪拜礼」「ブチ:接頭詞、表示程度深」など、回ごとの特殊な単語を解説するブログもある。
あるIT企業のエンジニアは自身のブログで、半沢直樹がIT大手の「電脳雑技集団」による同業「東京スパイラル」の買収案件に関わる場面について、想定買収額が1500億円という点に「その額が高額案件と考えられているのが寂しい」と記した。同氏は「13年に(メッセージアプリのWeChatを運営する)テンセント(騰訊)や(検索大手の)バイドゥ(百度)が、エッジの効いたITスタートアップを買収していた時期と構図も買収金額もよく似ている。中国ではもう、面白いスタートアップは1500億円くらいでは買収できなくなっている。QRコードを生み出し、3Gでは世界の先頭を走り、ヤフージャパンは00年代始めにアジア最大のポータルサイトだったのに、日本のIT企業は取り残されてしまった」と嘆いた。
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