オンラインで行う会社説明会の上手な進め方:人・お金の余裕がなくてもOK(2/4 ページ)
新型コロナウイルス感染症の影響により、採用市場ではオンラインでの会社説明会が広がっています。中小企業がオンライン説明会を導入・運用する際のポイントを解説します。
非言語的手掛かりは、人の「感情」を伝える機能をもちます。うれしさを言葉で説明しなくても、笑顔を見せれば感情は十分に伝わるでしょう。
非言語的手掛かりを通じて、感情が「感染」することも分かっています。人は相手の表情や姿勢を無意識のうちに模倣し、相手と似た感情を抱くようです。笑顔の人を見ると自分までうれしい気持ちになります。こうした現象は「情動感染」と呼ばれます。
Web説明会でいうと、登壇する人事担当者の感情が、参加する求職者にうまく伝わらなくなる可能性があります。例えば、対面ならば伝わった人事担当者の愛社意識は、画面越しには伝わらずに、求職者の感情もあまり揺さぶられないかもしれません。従って、Web説明会では思い切って、「感情」ではなく「情報」の伝達に絞るべきでしょう。
情報伝達に特化する意義を下支えする研究知見もあります。イベントへの参加方法によって動機が異なることを示す研究です。対面で参加する人は、他の参加者との関わりを望みます。対して、オンラインで参加する人は、情報の獲得を主な動機としています。
オンラインの教育プログラムでも、情報伝達を目的とする講義動画はよく視聴される一方、ディスカッションなどの双方向性のあるコンテンツはスキップされるようです。Web説明会に参加する求職者も、情報収集という参加動機をもっている可能性が高いと考えられます。
(3)コンテンツを増やし、関わりをつくる
非言語的手掛かりが減るほど、情報の「伝達感」が下がることが検証されています。
伝達感とは、受け手が「情報を十分に理解できたと思うこと」を意味します。伝達感は、実際に理解できた程度としての「伝達度」とは区別されます。
興味深いことに、非言語的手掛かりが減ると、「伝達度」はむしろ高まる場合があります。非言語的手掛かりを見ない分、語られる内容に注意が向くからでしょう。つまり、非言語的手掛かりが少ないWeb説明会では、伝達感は下がるが、伝達度は上がる、ということです。
事前に自社のことを知ってもらえていない企業にとって、説明会は自社のことを伝えるチャンスです。「伝達度」の上昇を前提にすれば、Web説明会ではコンテンツ量を心持ち増やすほうがよいでしょう。しかし、「伝達感」の低下を考慮すると、求職者に消化不良感が残るリスクも考えられます。伝達感の醸成に気を配りたいところです。
伝達感を醸成する方法として、例えば、企業側の説明後に求職者に感想を求め、それにポジティブな反応を返すことが考えられます。「その理解で問題ない」ことを示せば、求職者の伝達感を高められるでしょう。ほかにも、求職者同士で感想共有の時間を設ける方法もあります。他の人とやりとりすれば、内容を理解した感覚が高まるのは、対面でもオンラインでも同じです。
前述の通り、求職者は情報収集を望んでWeb説明会に参加しますので、感想を求めたり共有したりする時間は長くならないようにしたいところです。
他方で、オンラインでは、やりとりが円滑に進みやすいことを示唆する報告もあります。
オンラインコミュニケーションの場合、自分の全身が露出しないため、対面時より匿名性が高いと感じ、緊張感が和らぐという報告です。実際にオンラインでは、顔を触る回数が少ないそうです。顔を触る動作は緊張の現れです。
なお、インタラクティブな方法は、ライブ配信のほうが実行しやすいといえます。しかし、録画配信でも不可能というわけではありません。ラグは生まれますが、録画配信を視聴した後、求職者にチャットなどで感想を述べてもらって、それに人事担当者がコメントを返す方法もあり得ます。
Web説明会を巡る6つのポイント
続いて、Web説明会を実施するうえで注意するとよいポイントを紹介します。オンラインでの情報提供に関する研究を参考に、6つのポイントを挙げます。
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