「集まれない」に苦慮するブライダル業界 リゾート婚大手が見極める“追い風”とは:「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵(4/4 ページ)
リゾート挙式大手のワタベウェディングは、新型コロナの影響が大きい中、オンライン相談やライブ配信サービスなど需要への対応を急ぐ。一方、小規模化やオンライン化はリゾート挙式のスタイルに合う。新たな需要創出に向けて、ビジネスモデルの見直しも進める。
今だからこそ、ビジネスモデルの再構築へ
一方、需要の低迷期だからこそできる取り組みもある。リゾート挙式のビジネスモデルを一から見直すことだ。40年以上にわたって、挙式のスタイルの一つとして確立してきたが、「昔から続けているやり方から脱することが課題となっていた」(仲山氏)という。
店舗を中心とした相談対応や打ち合わせもその一つ。オンライン活用がさらに進めば、必要な実店舗数はこれまでよりも少なくなるだろう。接客の際も、リゾート挙式のシステムの説明など、全ての顧客に伝えなくてはならないことを動画を使って説明すれば、オンラインでも対面でも分かりやすい上に、スタッフは顧客の疑問解消や踏み込んだ説明に集中できる。
また、打ち合わせを全てオンラインで完結できるサービスも視野に入れているというが、衣装の試着などが必要となるため、現状では難しい。それでも、採寸アプリを導入するなど、オンラインサービスの拡充を検討していくという。「リゾート挙式は、事前準備やサービスにおいてオンライン化できる部分が大きい。実店舗のノウハウを生かして対応できれば」と仲山氏は話す。
新型コロナによって結婚式の小規模化はますます加速しそうだ。一方、そんな中でも、顧客がそれぞれ「価値」を感じるサービスであれば、お金を払って利用したいと思うだろう。価値観が大きく変わる節目だからこそ、伝統や慣習だけでなく、「こんなことができるんだ」と思ってもらえる新しい領域に踏み出すことが必要かもしれない。
関連記事
- ボルボ日本法人が着手した「オンライン接客」 “会ってなんぼ”を超える満足度向上とは?
ボルボ・カー・ジャパンはオンラインサービスを強化している。7月、「オンライン商品説明」を開始。感染対策や顧客ニーズへの対応に加えて、セールス担当者の働き方改善にもつなげる。また、効率化だけなく、接客の質を高めるためにオンラインを活用する方針だ。 - 銀行も前例こえて賛同 「#取引先にもリモートワークを」運動に共感が集まる理由
新型コロナの影響で普及したテレワーク。書類整理や押印の業務で出社が必要となるケースも多いことが課題になった。それを解決しようと呼びかける取り組みが「#取引先にもリモートワークを」というアライアンスだ。発起人に立ち上げの狙いや反響を聞いた。 - テレワーク普及で企業の「スペース」はどうなる? 変わりゆく“空間の使い方”
物置きシェアサービスのモノオクは、オフィス縮小ニーズを想定し、法人向けに荷物の保管・撤去サービスを始めた。オフィス縮小などのニーズ拡大が見込まれる一方、“使わないスペース”も増えているという。企業や店舗が持つスペースに、何が起きているのか。 - テレワーク不可でもクラスターは防ぎたい――小さな工夫で感染リスクを減らす「非接触型オフィス」とは
テレワーク導入やオフィス改装は業務やコストの制約があってできない、でも感染対策は必要――。そんな企業に対して、小さな工夫でできる「非接触型オフィス」を提案するデザイン会社がある。感染リスクを減らすポイントと、これからのオフィスづくりの考え方を聞いた。 - コロナうつにならないために 従業員のメンタルケア、“不安とうまく付き合う”サポートが鍵
新型コロナによるテレワーク体制で、業務やコミュニケーションに悩みを抱えやすくなっており、メンタルケアに対する関心が高まっている。法人向けサービス「emol work」ではAIが“セルフケア”を支援。自分や他人を否定しない考え方が役に立ちそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.