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レヴォーグで提示されたスバルの未来池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/5 ページ)

シャシー性能に注力したスバルの改革は、本当にスバルに相応しい戦略だ。すでに何度も書いてきているが、フラット4の余命はそう長くない。CAFE規制の今後を見れば、少数生産の特殊エンジンとして生き残ったとしても、いつまでも主力ではいられないだろう。その時「スバルの走りとは何か?」と問われたとして、このレヴォーグのSGPセカンドジェネレーションには十分な説得力があり、スバルがスバルでい続けられる理由が相当に明確になった。

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新時代のスバル

 基本的な技術ポイントは3つある。1つ目はすでに触れたフルインナーフレーム。あらためて説明すれば、モノコックの「骨格と外皮」を完全に分離させたところに真価がある。強度部材であるモノコックは、従来センターセクションとそれ以外に分けて、アウタースキンとの溶接を済ませてから構造部材の溶接が行われていた。美麗に仕立てなければならない外皮が邪魔してセンターセクションとそれ以外を溶接するポイントが制限されていたのである。フルインナーフレームでは、まずクルマ全体の構造骨格を理想的溶接ポイントで溶接してから、飾り付けのアウターパネルを溶接する手順に組み替えたのだ。これによって、圧倒的にボディ剛性を引き上げることができた。


これまでのSGPの部分とフルインナーフレームとを色分けして分かりやすく、のつもりが、ただ構造材を追加しただけみたいに見えてわかりにくくなってしまった例(失礼)。どちらかといえば材の追加より溶接点の方が大事なはず。多分新旧シャシーを並べないと分かりにくい

 2つ目は、2ピニオン式のパワステユニットだ。ラックに対して、ステアリングからドライバーが入力するピニオンギヤと、モーターがアシストするために使うギヤを分けた。従来のステアリングシャフトや1つのピニオンギヤにモーターが取り付けられている形式では、モーターとステアリングが直結されているに等しいので、ギヤのバックラッシュ分の余分なモーターの駆動レスポンスが、ステアリングに雑味として戻ってしまう。2ピニオンであれば、アシスト側ピニオンの動きは一度ラックギヤに伝えられてから間接的にステアリング側ピニオンに戻るので、実際にラックギヤが動いた分だけがフィードバックされる。つまりパワステユニット全体で操作に対する遅れや、無駄なフィードバックが発生しにくい。


ドライバーからの入力と、モーターによるサポートの入力経路であるピニオンギヤを分離した2ピニオン式パワステユニット

 3つ目は、電制可変ダンパーで、これはソレノイド制御によるオイル通路を外筒と内筒の間に設けて、特に動的領域での姿勢制御に用いている。


電制ダンパーは、ソレノイドバルブ式。応答性の高さに目をつけて、瞬間的な姿勢制御にも用いられている

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