2015年7月27日以前の記事
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『半沢直樹』が人気なのは、「パワハラの被害者が増えているから」は本当かスピン経済の歩き方(1/6 ページ)

ドラマ「半沢直樹」が高視聴率を叩き出している。人気の背景に、「庶民の留飲を下げるような勧善懲悪のストーリーであることが大きい」といった指摘があるが、筆者の窪田氏はちょっと違う見方をしている。どういうことかというと……。

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 高視聴率を叩き出しているドラマ「半沢直樹」(TBS)を「歌舞伎」と重ねる声が増えている。

 これは、本物の歌舞伎役者をはじめ、演技力の高い役者さんが多く出演していることに加えて、歌舞伎同様、庶民の留飲を下げるような勧善懲悪で明快なストーリーであることも大きい。実際、ドラマに出演している市川猿之助さんも、「ここに歌舞伎役者がフィットするのは、きっと現代の時代劇なのだと思います」(半沢直樹公式ページ)とおっしゃっている。


高視聴率をたたきだしているドラマ「半沢直樹」(出典:TBS)

 なんて調子で、今や歌舞伎や時代劇と肩を並べる、国民的娯楽作品となった半沢直樹だが、ここまでの人気になったのはもうひとつ大きな理由があると考えている。それは、「日本のパワハラ被害が増えた」ことだ。

 ご存じのように、日本のパワハラ被害は右肩上がりで増えている。例えば、「ミドルの転職」という転職サイトを利用している35歳以上のユーザー2911人に調査したところ、なんと8割がパワハラを受けた経験があった。また、国際的な調査でも「職場の上司や同僚から、いじめや身体的・精神的な攻撃といったハラスメントを受けたことがあるか」というアンケートで日本はワースト4位だった。


35歳以上の人でパワハラを受けたことがあるのは82%(出典:エン・ジャパン)

 つまり、日本には上司や同僚などから理不尽な嫌がらせを受けて心が疲弊している人たちがゴロゴロ溢れているということだ。こういう人たちが日曜の夜、辛い浮世を一時でも忘れ、明日からまたがんばろうと思ったとき、どんなドラマを見たいだろうか。

 理不尽な嫌がらせをする上司や、陰でコソコソと他人の足を引っ張るような卑怯者たちがバッタバッタとなぎ倒される、そんな爽快感のあるドラマであることは言うまでもない。半沢直樹はそんなニーズにビタッとハマっているのだ。

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