『半沢直樹』が人気なのは、「パワハラの被害者が増えているから」は本当か:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
ドラマ「半沢直樹」が高視聴率を叩き出している。人気の背景に、「庶民の留飲を下げるような勧善懲悪のストーリーであることが大きい」といった指摘があるが、筆者の窪田氏はちょっと違う見方をしている。どういうことかというと……。
高視聴率を叩き出しているドラマ「半沢直樹」(TBS)を「歌舞伎」と重ねる声が増えている。
これは、本物の歌舞伎役者をはじめ、演技力の高い役者さんが多く出演していることに加えて、歌舞伎同様、庶民の留飲を下げるような勧善懲悪で明快なストーリーであることも大きい。実際、ドラマに出演している市川猿之助さんも、「ここに歌舞伎役者がフィットするのは、きっと現代の時代劇なのだと思います」(半沢直樹公式ページ)とおっしゃっている。
なんて調子で、今や歌舞伎や時代劇と肩を並べる、国民的娯楽作品となった半沢直樹だが、ここまでの人気になったのはもうひとつ大きな理由があると考えている。それは、「日本のパワハラ被害が増えた」ことだ。
ご存じのように、日本のパワハラ被害は右肩上がりで増えている。例えば、「ミドルの転職」という転職サイトを利用している35歳以上のユーザー2911人に調査したところ、なんと8割がパワハラを受けた経験があった。また、国際的な調査でも「職場の上司や同僚から、いじめや身体的・精神的な攻撃といったハラスメントを受けたことがあるか」というアンケートで日本はワースト4位だった。
つまり、日本には上司や同僚などから理不尽な嫌がらせを受けて心が疲弊している人たちがゴロゴロ溢れているということだ。こういう人たちが日曜の夜、辛い浮世を一時でも忘れ、明日からまたがんばろうと思ったとき、どんなドラマを見たいだろうか。
理不尽な嫌がらせをする上司や、陰でコソコソと他人の足を引っ張るような卑怯者たちがバッタバッタとなぎ倒される、そんな爽快感のあるドラマであることは言うまでもない。半沢直樹はそんなニーズにビタッとハマっているのだ。
関連記事
- 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - 日本電産永守会長が炎上! 「即戦力になる新卒」を求めることは、罪深いのか
カリスマ経営者が「炎上」してしまった。日本電産の永守重信会長・CEOである。「カンブリア宮殿」(テレビ東京)に出演したときの言動が問題視されているわけだが、どのようなコメントをしたのか。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - 登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
登山家の栗城史多さんがエベレスト登頂に挑戦したものの、下山中に死亡した。「ニートのアルピニスト」として売り出し、多くの若者から支持を集めていたが、登山家としての“実力”はどうだったのか。無謀な死に追い込まれた背景を検証すると……。 - えっ、盗まれないの? 無人の古本屋は、なぜ営業を続けられるのか
東京の三鷹駅から徒歩15分ほどのところに、無人の古本屋がある。広さ2坪のところに、500冊ほどの本が並んでいるだけ。「誰もいなかったら、本が盗まれるのでは?」と思われたかもしれないが、実際はどうなのか。オーナーに話を聞いたところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.