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コロナ禍で製薬業界に訪れた転換点 ヘルステック企業が実現を目指す「バーチャル治験」とは?「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵(2/5 ページ)

新型コロナウイルスの影響によって、医療や医薬品業界のビジネスモデルが大きく変わろうとしている。病院などに足を運ばなくても受けられる「バーチャル治験」の実現に向けて期待が高まった。

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ヘルステックで実現を目指す「バーチャル治験」

 治験は医療行為に当たるので、現状では病院で実施される。これが、もしバーチャル治験が実現した場合には、在宅で受けることも可能になる。

 在宅での治験を実現するために必要なものは多岐にわたる。検査をするための検査キットなどを用意する、被験者に直接説明をして同意を得る、採血などの医療行為をする際には医師や看護師が治験者を訪問するといった対応は、バーチャル治験であっても対面で行わなければならない。


検査をするための検査キットなどを用意する、被験者に直接説明をして同意を得る、採血などの医療行為をする際には医師や看護師が治験者を訪問するといった対応は、バーチャル治験であっても対面で行わなければならない

 一方で、そこから先はヘルステックが担える部分が多い。例えば腕時計型のウェアラブルデバイスを使えば、睡眠状況、心拍数、血圧などが測定できて、データを医療機関や製薬会社に送信できる。この部分のサポートを、3Hクリニカルトライアルをはじめとするグループ企業が担おうとしている。

 「不眠症の治療では、以前は患者さんが手書きで自己申告した睡眠日誌によって状況を把握していました。ですが、現在ではウェアラブルデバイスによってデータが記録できます。自己申告の場合は、実際には目が覚めているのに、その記憶がないこともよくあります。より客観的なデータが活用できる点は、ウェアラブルデバイスの大きな意義ですね。他にもパッチ型の心電図レコーダーを在宅で着けてもらって、データをスマホ経由で送信する仕組みも実用化しています」


腕時計型のウェアラブルデバイスを使えば、睡眠状況、心拍数、血圧などが測定できて、データを医療機関や製薬会社に送信できる

 バーチャル治験を実現するための課題は、デバイスによって取得するデータが、治験での活用に耐えうるものかどうかだ。3Hクリニカルトライアルではデータの確度などについて調査を始めているほか、海外でバーチャル治験の実績を持つ企業と協業することによってバーチャル治験を実施するための仕組みの構築を進めている。

 滝澤社長は、ヘルステックは「Patient Centricity」=「患者中心医療」を実現するためには、欠かせない手段だと考えている。

 「私たちが考える患者中心医療は、患者さん自身というよりも、患者さんが持っている疾患の課題を、あらゆる角度から解決することです。そのためにはエビデンスを含めたサイエンス、患者を理解するインサイト、実現するためのテクノロジーが必要になります。サイエンス、インサイト、テクノロジーによって集めた患者さんのデータベースを、課題解決のために活用することが、私たちが展開するビジネスです」


エビデンスを含めたサイエンス、患者を理解するインサイト、実現するためのテクノロジーによって集めた患者のデータベースを、課題解決のために活用することが、3Hクリニカルトライアルの展開するビジネスだ

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