グーグルも注目 歩けば歩くだけ安くなる医療保険「歩くとおトク保険」(2/3 ページ)
ヘルスケアデータを使った保険ビジネスが動き始めている。8月末には、グーグルの親会社であるアルファベットが保険事業に参入した。グーグルが集めたヘルスケアデータを基に保険商品を作成すれば、さまざまな可能性が考えられる。国内でも、保険スタートアップjustInCaseが始めたのが、前月の歩数に応じて保険料が割り引かれる医療保険だ。
ヘルスケアデバイスのビジネス活用
仕組みはこうだ。まずスマホのアプリをダウンロードし、身長と体重を入力する。その際は健康診断結果の画像や、体重計の数字が出ているところと身分証明書を合わせて撮影することで不正を防止する。
続いて、アプリをアップルのHealthKitやグーグルのGoogle Healthと連携させる。これにより、スマホがOSレベルで測定した歩数の記録を、justInCaseのアプリで利用できるようになる。あとはスマホを持って歩けば、月間の歩数に応じて翌月の保険料が割り引かれる仕組みだ。
医療診療結果や健康診断結果をもとにして保険料を調整する保険はこれまでもあった。しかし、歩数に応じて保険料を割り引くには、日常の歩数と病気の罹患率の関係に関する大量のデータがないと実現できない。
「2年前からこうした保険を作りたいと思っていたが、計算の基礎になるデータがなかった。DeNAからデータを提供していただいて、開発することができた」とjustInCaseの畑加寿也社長は話す。50Gバイトほどの歩数と健康状態のデータを分析して、歩数によって最も罹患率が変わるものを探した結果、3大疾病、5大疾病を対象とする医療保険になったという。
歩数による割引は純粋にリスク軽減の結果
面白いのは、歩数に応じた保険料の割引はプロモーションを目的としたものではなく、純粋にリスクが軽減した結果だということだ。保険料は、保険金支払いに使われる純保険料と、保険会社の経費にあたる付加保険料の合計で決まる。今回の「歩くとおトク保険」では、付加保険料ではなく純保険料を割り引く形で実現した。
「純保険料でみると50%近い大きな保険料を割り引いている。経費を安くするのではなく、このように歩数と運動すれば、実際に支払う保険金が下がる。だから保険会社としてリスクを取れた」(畑社長)
ちなみに、ITを活用した保険の先進国である中国では、同じように歩数連動で割引率100%を実現した「歩歩保」という保険もあり、すでに3000万人以上が加入するなど人気だ。しかし日本では法規制上、なかなか実現は難しいという。「難しい。どこにもやってはいけないとは書いていないが、できるようには思えない」(畑社長)
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