アルバイトが辞めた飲食店は48.7% 長引くコロナ禍、厳しい雇用維持:緊急事態宣言以降
新型コロナウイルスの終息が見通せない中、飲食店での雇用維持が難しい状況が続いている。シンクロ・フードの調査結果によると、緊急事態宣言以降、アルバイトが退職している店舗は48.7%と約半数にのぼった。
4月の緊急事態宣言以降、アルバイトが退職している飲食店は48.7%──飲食店経営者を対象に調査を行うシンクロ・フードが9月2日にそんな結果を発表した。4月以降の採用状況は「正社員もアルバイトも採用をしていない」と回答した店舗が72.1%。約半数の店舗でアルバイトが辞めているにもかかわらず、7割の店舗が新規採用を行っていない現状が浮き彫りになった。新型コロナウイルスの終息が見通せない中、飲食店での雇用維持が難しい状況が続いている。
現状の営業状態については「営業時間を短縮、または調節して営業」が最も多く64.1%で、「通常通りの営業時間で営業」と答えた経営者は29.2%にとどまった。東京都をはじめ、各地での短縮営業の再要請が影響しており、通常通りの営業時間の店舗は29.2%と、7月時点(52.6%)と比べて23.4ポイント減少した。
「閉業を検討している」(5.4%)、「閉業した」(1.3%)と答えた店舗も7月の調査結果(それぞれ3.9%、0.9%)と比較すると微増だった。
人件費を抑えるために取り組んでいる工夫では、「正社員の休みを増やし、雇用調整助成金を毎月申請している(東京都/イタリア料理/1店舗)」「アルバイトを積極採用して、正社員比率を下げて、人件費単価を下げる方向性 (東京都/その他/11〜30店舗)」など、シフトや雇用時間を調整しているという回答があった。
この他「営業時間短縮、セルフオーダーシステムの導入を行った(神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)」「シフト調整、調理工程の見直し、作り置きメニューを増やした (埼玉県/イタリア料理/2店舗)」など、オペレーションや調理工程を見直している店舗もみられた。
調査期間は8月19日〜8月20日、シンクロ・フードが運営する「飲食店.COM」会員の535人を対象に、インターネットで実施した。
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