「傘を持ち歩かない生活を」シェアリングサービス「アイカサ」 設置場所拡大:山手線12駅にも設置
傘のシェアリングサービス「アイカサ」の設置場所が拡大している。9月2日までにJR山手線線12駅に82台の設置を完了した。主な利用者層は20〜40代。通勤通学での需要を見込み山手線での設置を拡大した。また、環境省と連携し、熱中症警戒アラートが発表された日は、無料で使えるサービスも実施している。
電車を降りたら突然の雨——。そんなときに役立つサービスが広がりを見せている。Nature Innovation Group(東京都渋谷区)が運営する、傘のシェアリングサービス「アイカサ」だ。
2018年に12月にサービスを開始したアイカサは、駅などに設置されたスポットで傘を借りられるサービス。スマートフォンのアプリでQRコードを読み取って傘を借りる仕組みで、返却は別のスポットでも可能。スポットは首都圏の駅を中心に、関西、福岡など約700カ所に設置されている。
現在、JR東日本や都営地下鉄など、関東にある9つの鉄道事業者の駅を中心に設置を進めている。利用者は主に20〜40代だという。これまで住宅街沿線の駅を中心に設置してきたが、通勤通学での需要を見込み、乗降客数が多い山手線での設置を進め、9月2日までに山手線12駅に82台の設置を完了した。
同サービスは、中国のシェアリングサービスを参考にしたという。傘を無料で貸し出すサービスは国内でも一部の自治体などで行われていたが、傘が返されなかったり、壊れた状態で返却されたりとサービスの持続性に課題があった。そこでアイカサでは、国内の傘メーカーと連携し、修理可能で壊れにくい傘を採用。また、貸し出し前に支払方法などを登録し、返却が遅れた場合は延滞料金が発生する仕組みとした。そのため、傘が返却されないという問題はほとんど起きていないという。
多くの人に利用してもらえるよう、料金は1日税込70円に抑えた。月額税込280円の使い放題プランもある。傘に企業などの広告を掲載し、施設から設置利用料を徴収することで収益を出すようにしている。
最近はさまざまな企業や省庁との連携を強めている。8月28日からは環境省と連携し、熱中症警戒アラートが発表された日は、無料で傘を使用できるサービスも始めた。
また、ソーシャルディスタンスを保つアイテムとしての需要も見込む。アイカサ自体の感染防止対策としては、アルコール消毒液の設置場所を増やしているほか、定期的なメンテナンス、持ち手の除菌を行っているという。広報担当者は、今後も企業との連携を進めて設置場所を拡大し、利用者の増加を目指したいと話す。
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