4月5日、ジャパンネット銀行がPayPay銀行へ その狙いとシナリオ金融構想 とは?(2/2 ページ)
ヤフーグループの金融事業のブランド名が「PayPay」に統一される。9月15日、グループ内の銀行であるジャパンネット銀行は2021年4月5日に「PayPay銀行」に商号を変更することを発表した。この狙いは何なのか。
Zフィナンシャルのシナリオ金融構想
ジャパンネット銀行のPayPayブランドへの変更だけでなく、グループ内各社もPayPayブランドへ順次統一していく。グループの金融中間持株会社であるZフィナンシャルの小笠原真吾氏(執行役員経営企画部長)は、現在ヤフーの傘下にあるワイジェイカードやYJ!FXについても、準備が整い次第、Zフィナンシャルに移管するとした。
こうしたブランド統一で目指すのは、「シナリオ金融構想」だ。ヤフーのグループ各社は、検索やEC、決済、旅行など、ユーザーにアクションを促す多くのサービスを提供している。そうしたサービスに沿って金融商品を提案するのが「シナリオ金融構想」となる。
例えば、1月からはヤフオク!で中古品を購入したときに、同時に修理保険を提案しており、簡単に申し込めるようにしている。「ヤフオク!修理保険は、今期末に10万件の契約を目指しているが、既に対象者の1割程度が申し込んでいる。想定以上だ」(小笠原氏)と好調だ。
同様の仕組みを、5月にはPayPayアプリからジャパンネット銀行の個人向けローンを提案するものとして提供。7月からは、ヤフートラベルでの旅行キャンセル保険も提供を始めた。「着実に手応えを感じている。グループには100を超えるサービスがある。その強みを生かし、保険、ローン以外も、サービスに沿ったシナリオ金融を提供していく」(小笠原氏)
ブランドはPayPayに統一するものの、現時点では資本関係はすっきりとしない。PayPay本体と暗号資産取引所のTAOTAO、証券会社のOne Tap Buyは、Zフィナンシャル傘下には置かず、ヤフーやソフトバンクなどの傘下で成長を目指す。PayPay銀行に名前が変わるジャパンネット銀行も、Zフィナンシャルと三井住友銀行が同率を出資する合弁会社だ。グループは来年にLINEとの経営統合も控えており、さらなる資本関係の変化が起きる可能性もある。
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