富裕層もZoomで口説く コロナ禍の営業は“不可逆”(1/2 ページ)
コロナ禍にあって営業のやり方が激変している。対面が難しくなり電話やオンラインがメインに。それは、資産額が1億円を超える、いわゆる富裕層と呼ばれる人たちに対しても同様だ。
アフターコロナ 仕事はこう変わる:
新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、業務の進め方を見直す企業が増えている。営業、在宅勤務、出張の是非、新たなITツール活用――先進的な取り組みや試行錯誤をしている企業の事例から、仕事のミライを考えていく。
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コロナ禍にあって営業のやり方が激変している。対面が難しくなり電話やオンラインがメインに。それは、資産額が1億円を超える、いわゆる富裕層と呼ばれる人たちに対しても同様だ。
「会わなくても状況の報告はZoomで行うようになった。これまでカフェやホテルのラウンジに出向いてお話していたが、同じ資料を見せることができる。私も驚いたが、不満は出なかった」
こう話すのは、富裕層を中心に資産運用サービスを提供するIFA事業者、Japan Asset Management(東京都千代田区)のアドバイザー、神保杏奈氏だ。同社は大手証券会社出身者を中心に2018年に創業、預かり資産は150億円を超える。480人ほどの顧客からの平均預かり残高は3500万円前後と大きく、1〜10億円がボリュームゾーンだ。
コロナ前まで預かり資産額は順調に増えていたが、コロナが来てから事業の生命線だった「人に会う」ことができなくなった。「人に会って紹介してもらって、会食したり飲食したりと昔ながらの営業をやっていたが、これが一切なくなった」と、同社代表の堀江智生氏は話す。
顧客のZoom環境設定もサポート
神保氏の顧客は関西圏を中心に、地主や経営者など60代の人が多い。こうした富裕層は、自分でPCに触る人は少なく、全部秘書がやっているという人がほとんどだ。非常事態宣言前の3月、これから対面でのやりとりは難しくなるだろうということで、顧客のZoom環境の整備にも動いた。
「LINEは皆さん使っているので、設定画面のスクリーンショットを撮って送り、LINE電話で話しながらサポートし、Zoomを導入してもらった」(神保氏)
電話などでもコミュニケーションは可能だが、Zoomのメリットは資料を映し出せることにある。同社では、顧客の資産を預かった後、定期的に状況報告を行っているが、大阪に出張せずとも行えるようになった。
「コロナ以前は、週の半分は関西に行っていた。それが月間3日に減った」と神保氏。
同社の顧客は全国に散らばっており、東京は半分程度。うまくZoomを使うことで、出張も激減した。3月以降の訪問件数を見ると、全1920件のうち、1100件がZoomで行われたという。
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