観光列車は“ミッドレンジ価格帯”の時代に? 新登場「WEST EXPRESS 銀河」「36ぷらす3」の戦略:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/6 ページ)
JR西日本は夜行観光列車「WEST EXPRESS 銀河」の運行を開始、JR九州も昼行観光列車「36ぷらす3」を運行開始予定だ。それぞれに旅客をひきつける特長がある。価格帯はミッドレンジ。ローエンドの価格の観光列車が多い中、中価格帯の試金石となりそうだ。
1日1本、組み合わせると九州一周「36ぷらす3」
JR九州の「36ぷらす3」のコンセプトも「手軽に利用できる観光列車」だ。列車名の36は、九州島が世界で36番目に大きな島であること。「ぷらす3」はJR九州が提供する「驚き、感動、幸せ」と「お客さま、地域の皆さま、私たち(JR九州)」の意味を掛けたという。要するに「九州で三位一体」を体験していただきたい。36と3を足して39となり「サンキュー」になる。盛りすぎ感があるけれど、意気込みは分かる。
JR九州はクルーズトレイン「ななつ星in九州」をいち早く成功させた。価格は1人あたり32万1000円〜164万7000円である。価格もサービスも人々を驚かせ、今も人気を維持する。リピーターもいると聞く。「36ぷらす3」は、「ななつ星in九州」の「九州一周」のコンセプトを継承し、中古の特急電車を改造した低価格帯の観光列車となる。
改造のもとになった787系電車は、鹿児島本線博多〜西鹿児島(現・鹿児島中央)間の看板特急「つばめ」用として登場した。1992年から2002年にかけて製造されたから、古い車両は28年が経過している。そのうち6両1編成を丸ごと改造している。座席は1人用と2人用の3列タイプで、これはJR九州やJR四国などのグリーン車の基本的な配置。個室もあり、1号車に4人用4室、2号車に6人用3室、3号車に2人用6室がある。3号車にはビュッフェ(簡易食堂)があり、4号車はマルチカーとして、イベント開催も可能な共用ラウンジとなっている。
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