観光列車は“ミッドレンジ価格帯”の時代に? 新登場「WEST EXPRESS 銀河」「36ぷらす3」の戦略:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/6 ページ)
JR西日本は夜行観光列車「WEST EXPRESS 銀河」の運行を開始、JR九州も昼行観光列車「36ぷらす3」を運行開始予定だ。それぞれに旅客をひきつける特長がある。価格帯はミッドレンジ。ローエンドの価格の観光列車が多い中、中価格帯の試金石となりそうだ。
運行日は木曜から月曜までの5日間で、曜日ごとに運行区間が異なり、途中駅で「おもてなしイベント」が設定されている。全て昼行列車で車中泊はない。乗りたい曜日だけ選んでもいいし、複数日を選択してもいい。その場合は乗り継ぐ駅の宿泊を別途手配することになる。この自由度の高さがユニークだ。JR九州は新しい観光列車の旅を提案した。
木曜日は博多駅午前9時52分発で鹿児島本線を南下、旧鹿児島本線の肥薩おれんじ鉄道も通って、鹿児島中央駅に午後4時24分着。金曜日は鹿児島中央駅を午後0時16分に発車し、日豊本線経由で宮崎駅に午後3時57分着。土曜日は宮崎空港駅午前11時25分発、宮崎駅にも停車して、別府駅に午後4時46分着。日曜日は大分駅を午前11時30分に発車し、別府駅で停車した後、博多駅到着は午後4時32分。ここでいったん博多に戻る。
残された佐賀県、長崎県は月曜日に往復する。博多駅午前10時51分発、佐賀駅に停車して、長崎駅に午後3時36分着。長崎駅午後5時30分発、佐賀駅に停車して、博多駅に午後9時3分着。片道1本ずつの販売だ。フルコースは木曜から月曜まで、博多〜鹿児島中央〜宮崎〜大分〜博多〜長崎〜博多の5日間。どこがスタートでも構わないから、例えば宮崎空港からスタートして宮崎に戻ってもいい。その場合は火曜日と水曜日の2日間にフリータイムを挟むプランになる。
なお、木曜日コースは当面の間は運休だ。経由する肥薩おれんじ鉄道の一部区間が令和2年7月豪雨で被災し運休しているからだ。8月26日時点で「復旧見込みは3カ月後」と発表しているため、早くても11月に復旧、「36ぷらす3」は12月の運行開始となりそうだ。従って、しばらくは鹿児島中央〜宮崎〜大分〜博多〜長崎〜博多の組み合わせから、1つまたは全部を選ぶ形になる。
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