コロナ禍で改革急ぐファミレス サイゼリヤとジョイフルの苦戦が長引きそうな理由:「近づけない、集めない」 時代を生き抜く、企業の知恵(7/7 ページ)
コロナ禍を乗り切るためファミレス各社はさまざまな改革を打ち出している。サイゼリヤとジョイフルは苦しい状況が続きそうだ。その理由とは。
有効な策を打ち出せていないジョイフル
現在のところ、新常態に対して有効な反撃策を打ち出せていないのが、ジョイフルだ。
現在は、200店もの大規模な店舗リストラに追われており、不採算店整理が一段落してから新常態に対応するという算段のようだ。
18年2月に買収した、1964年創業の洋食チェーン「キッチンジロー」13店舗を9月末に一斉閉店するのも、店舗大リストラの一環だ。キッチンジローは、創業地・神田神保町の店舗も閉鎖され、東京・九段下と大阪・中之島フェスティバルプラザの2店舗のみが残る。
ジョイフルでは、9月29日に「コク旨食堂フェア」を開催する。「北海道産ホタテとねぎトロ月見丼」(税別799円、以下同)や「すき焼き鍋定食」(759円)といったごちそう丼や定食を、ファミレスとしては安い価格で提供する狙いがある。コロナにおびえる人々の来店意欲を“良い物が安い”という従来型の発想で、どこまで高められるか、注目される。
ファミレスは各社各様、悩みながら力強く前進しているように見える。
即効性がありそうな施策で難局を切り開こうとする、すかいらーくとロイヤルグループが、夜明けに最も近い。非接触型の新業態を開発するセブン&アイ・フードシステムスとびっくりドンキーにも改革の光が見えた。従来の方法の延長線上で切り抜けようとしているサイゼリヤとジョイフルは、いまだ闇の中で懸命に光を探している状況といえるのではないだろうか。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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