コロナ禍で改革急ぐファミレス サイゼリヤとジョイフルの苦戦が長引きそうな理由:「近づけない、集めない」 時代を生き抜く、企業の知恵(6/7 ページ)
コロナ禍を乗り切るためファミレス各社はさまざまな改革を打ち出している。サイゼリヤとジョイフルは苦しい状況が続きそうだ。その理由とは。
最大のピンチに陥っているサイゼリヤ
サイゼリヤは、コロナ禍によって上場以来、最大のピンチに陥っている。
1月と2月の既存店売上高(対前年同月比)は、それぞれ105.1%、106.6%と絶好調だった。ところが、4月には38.6%まで急降下した。
1月と2月の好調には、ラム肉串「アロスティチーニ」のヒットが大いに貢献した。このまま今年は突っ走ると思われたが、コロナ禍の前に、ラム串の熱狂もかき消されてしまった。
普段は宣伝をしないサイゼリヤであるが、食事用マスクとして開発した「しゃべれるくん」のPRには珍しく熱心。8月に同社公式Webサイトで紹介したYouTube動画にて、その作り方を解説している。しかし、しゃべれるくんを実際に着用すると、口の前に暖簾(のれん)のように垂れ下がってしまうので、食べ物が見づらい。また、口に食べ物を運ぶ際に、紙をめくらないと食べにくいという難点もある。さらに、ソースやスープなどの液体が付きやすく、汚らしく見えてしまう。
そこで、スプーンを紙ナプキンの折しろに挟んで口を覆ったり、おしゃべりをする時に手で紙ナプキンを口もとに持ってくる「おほほほ スタイル」など、新バージョンも登場している。
ところが、筆者が平日の昼過ぎから夕刻にサイゼリヤの店舗を利用したところ、しゃべれるくんを着用している人は誰もいなかった。提案の視点が、ズレているのではないだろうか。
紙にメニューの番号を記載して注文する方法も、店員との接触を減らす策だと理解する。しかし、実際にお店で注文してみると面倒だ。
新業態として2月に東京・浅草にオープンした、パスタ専門店「伊麺処(パスタドコ)」はパスタのファストフードを目指しており、6月には新宿に2号店を出店した。あまり成功例がない難しい業態で、定着するだろうか。
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