止まらない中国排除 米国の次のターゲット、鍵を握る「クラウド」企業:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
米国のさらなる中国企業排除が注目されている。米政府の「クリーンネットワーク計画」では5つの分野で情報を守ろうとしているが、特に中心となるのが「クラウド」。中国のクラウドサービスが次のターゲットとなる可能性があり、日本もまた振り回されそうだ。
中国を排除する5つの“クリーン”
そもそもこのクリーンネットワーク計画とはどういうものなのか。
8月5日、米国務省のマイク・ポンペオ長官は「米国の資産を守るためのクリーンネットワーク計画の拡大を発表する」という声明を発表した。実はこの計画は突然湧いて出たものではなく、4月に発表された「クリーンパス・イニシアチブ」という、米国の5GインフラからファーウェイやZTEといった中国の通信企業を排除しようと再確認する取り組みが発展したものである。
クリーンネットワーク計画は、「中国共産党のような悪意ある攻撃者による執拗な侵入工作から、国民のプライバシーや米企業の最も機密性の高い情報を守るためのトランプ政権による包括的な取り組み」だと発表されている。この計画では、通信やテクノロジーのインフラを守るための5つの分野を指定している。
まずは、「クリーンなキャリア」を標ぼうして、通信ネットワークが「信用ならない中国」の企業とつながらないようにすることを確認するという。さもないと、米国の安全保障への脅威になるからだ。
2つ目は「クリーンなストア」。スマートフォンなどでアプリを入手するストアから中国製のアプリを排除する。中国製アプリはプライバシーを危険にさらし、ウイルスだけでなくプロバガンダや偽情報をばらまく。スマホなどのデバイスから、個人や企業の貴重なデータが盗まれると、中国政府の利益になりかねないからだ。
3つ目は「クリーンなアプリ」。中国のスマホメーカーは信用ならないアプリをスマホなどにプリインストールしたり、ダウンロードさせようとする。国務省によれば「中国政府による監視活動の手先であるファーウェイ」は、米国や他の国の先端企業のイノベーションを利用しており、そうした企業はファーウェイ製スマホなどのアプリストアから自分たちのアプリを撤退させるべきだと主張。さもないと、中国の人権蹂躙(じゅうりん)活動の片棒を担ぐことになると訴えている。
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